今回も、ディジョンを訪れます。ディジョンといえば、ブルゴーニュ・ワインの一大産地として名高いですが、とはいえ、一時期はその販売にも翳りが見えました。この窮状を打開すべく生みだされたのが、地元の特産品たる白ワインとカシスのシロップを使った食前酒、キールでした。このキール、その名はある人物に由来するのですが、その人物とはいったい何者でしょうか。そして、この食前酒は、ディジョンの町になにをもたらしたのでしょうか。町をのんびりと散策しながら、この食前酒をめぐる歴史と秘密に肉迫いたしましょう。
Notre guide plutôt malicieux a pris le temps de s'arrêter aux bons endroits, devant ce qu'il faut bien appeler un des totems alimentaires de Dijon : le kir.(とても茶目っ気のあるわれわれの案内役は、いろいろな場所に立ち寄る時間を取りましたが、ある場所の前で立ち止まったとき、否が応にも、ディジョンの伝統的食文化のひとつ、キールを思い起こします。)
Savez-vous qu'il doit sa renommée à un drôle de bonhomme ? Curé et maire de la ville pendant 25 ans.(あなたは、キールの名声がある風変わりな男によってもたらされたことを知っていますか。この町の主任司祭たるこの人物は、25年にわたり市長職を務めました。)
En tant que journaliste puis comme homme politique, Jean-François Bazin a bien connu le chanoine, juste après la guerre. Certes petit par la taille mais finalement grand bâtisseur.(取材記者として、そして政治家として、ジャン=フランソワ・バザンは、そう、この司祭と終戦直後に面識をもちました。たしかに、彼は、身長という点では小さいですが、ついには立派な創始者となりました。)
Aujourd'hui le lac Kir enivre bien des Dijonnais. On s'y baigne en été. En hiver la ville y trouve un miroir qui fait oublier les marais d'autrefois.(こんにち、キールというお酒の海は、ディジョンの人々をほろ酔わせます。夏、人々はその海で泳ぎます。冬、この町は、かつての不振を忘れさせる栄光をその海に見出すのです。)