COMPRÉHENSION DES QUESTIONS(問題のあらまし)

 

 一往復半乃至は二往復の対話文を教材に、空欄部に入れるに相応しい文を選択する、対話文空欄穴埋め問題。小問5点×5問=25点。対話文空欄穴埋め問題とは言うものの、じつのところ、問われるのは日常的にしばしば目にする語彙や慣用表現に関する理解である。と言うのも、問題文にせよ選択肢にある文章にせよ、その内容は、初級向け文法教科書や中級向け講読教科書に用いられるごく基本的な日常的表現の理解さえあれば容易に押さえられるものばかりだからである。しかし、内容的にはさほど難しくはなくとも、細心の注意を払いつつ、一文一文丁寧に文章と向き合わなければ、意図せぬ誤訳に嵌る危険のある文章も中にはあることに十分留意されたい。つまり、語彙や日常的表現に纏わる基本的な教養とその幅を前提に、眼前に与えられたテクストの一文一文にとことん、そして真摯に向き合えるか、フランス語の上達における根幹的素養、ある種の芽のようなものが問われるのである。尚、解答の目安は、小問あたり問題文の理解に1分、選択肢にある文章の理解に1分の計2分、全5問、総計10分を目指す。

 

 

CORRIGÉ(解答)

 

 問1 2  問2 2  問3 2  問4 1  問5 2

 

 問1:語り手Aの問い「君は、コンサートでこのロックシンガーを目にしたことはあるかい」に対する語り手Bの返答を受けた語り手Aの言葉は「それって、まったく違うじゃないよ」つまり、語り手Bは、語り手Aの問いに矛盾する、あるいは頓珍漢な答えを言ったことになる。ゆえに、正答は選択肢2「ううん、でもね、わたしはテレビでこのロックシンガーを目にしたんだよ」となる。他の選択肢は順に、選択肢1「ううん、でもね、わたしは来週、このロックシンガーに会いに(コンサートに)行くんだよ」、選択肢3「うん、素晴らしいコンサートだったよ」、選択肢4「うん、あの夜、このロックシンガーは疲れているように見えたな」となり、いずれも後に続く語り手Aの言葉とは嚙み合わない。

 

 問2:語り手Aの問い「ママ、わたしの黒い鞄、どこにあるのか知らないかなあ」に対する語り手Bの返答を受けた語り手Aの言葉は「わたしは、そうしていたって。だけどね、鞄はもう、そこにないのよ」つまり、語り手Bは、語り手Aに対し何らかの助言、より具体的には、何かをするようにと差し向けたのである。ゆえに、正答は選択肢2「わたしは、お前に言ったでしょう、いつも鞄を戸棚にしまっておけって」となる。他の選択肢は順に、選択肢1「お前、あの鞄なら売っちゃったんじゃなかったっけ」、選択肢3「知らないわ、でも一緒に鞄を捜しましょうよ」、選択肢4「もしや、お前、あの鞄、お姉ちゃん(妹)に貸したりはしていなかったよね」となり、いずれも後に続く語り手Aの言葉とは嚙み合わない。

 

 問3:語り手Aの言葉「お会計にしましょう」に対する語り手Bの返答を受けた語り手Aの言葉は「ありがとう。次は、わたしが奢るからね」つまり、今回の支払いは語り手Bがしたということである。ゆえに、正答は選択肢2「今日は、わたしが君を誘ったんだから(、ここはわたしが支払うわ)」となる。他の選択肢は順に、選択肢1「待ってよ、わたしはまだ、(食べ)終わっていないのよ」、選択肢3「ここは、わたし達には高くついたわね」、選択肢4「今日の支払いは君にお願いするわ」となり、いずれも後に続く語り手Aの言葉とは嚙み合わない。

 

 問4:語り手Aの問い「ところで、どうだったのよ、今回のイタリー旅行は」に対する語り手Bの返答を受けた語り手Aの言葉は「残念だったわね。でもせめて、美術館や料理の良さは、あなたにも分かったでしょう」つまり、語り手Bの語るイタリー旅行に関する感想は、語り手Aの予想とは異なり、決して良いものではないということである。ゆえに、正答は選択肢1「素晴らしい国だわ、でもね、(旅行中)ずっと雨だったのよ」となる。他の選択肢は順に、選択肢2「とどのつまり、わたし達はイタリーには行けなかったのよ」、選択肢3「すごく良かったわ。どれもこれも素晴らしかったわ」、選択肢4「イタリー(に行ったの)は、昨年のことよ。今年はわたし達、船旅をしたのよ」となり、いずれも後に続く語り手Aの言葉とは嚙み合わない。

 

 問5:語り手Aの言葉「大ニュースよ。ついにわたし、運転免許を取ったのよ」に対し、語り手Bは「すごいじゃないのよ。ところで、明日、町の中心街まで、わたしを(車で)連れて行ってよ」と切り返す。語り手Bのこの言葉に対する語り手Aの返答を受けた語り手Bは「あんたのお父ちゃんに頼みなよ。たぶん、お父ちゃんの車を借りられると思うよ」と述べる。つまり、語り手Aは、語り手Bの提案に応えることは出来ず、それゆえ語り手Bは、語り手Aに新たな提案をしているのである。ゆえに、正答は選択肢2「そうしたいのはやまやまだけどね、わたしはまだ、車を持っていないのよ」となる。他の選択肢は順に、選択肢1「ああ、だめよ。町中には、車が多過ぎるもの」、選択肢3「わたしの従姉妹も、一緒に(連れて)行っていいかしら」、選択肢4「あいにくなんだけど、明日、わたしは暇じゃないのよ」となり、いずれも後に続く語り手Bの言葉とは嚙み合わない。

 

 

POUR MIEUX APPRENDRE(学習のポイント)

 

 日常的表現の習熟を図るにあたり、最も効果的なのは、やはり数多くのテクストを読むという作業を通し、こうした表現との出会いを着実に進めることです。とはいえ、新たに目にした表現を単に仏和辞典を引いて日本語での意味を確認して満足するのではなく、仏和辞典に掲載された例文を帳面に書き写すとともに、その表現を用いたフランス語作文に取り組みましょう。また、version(仏文和訳)の際に必要とされる形態素解析の能力を高めるように努めましょう。と言うのも、前述の能力は、問題文や選択肢にある文章の理解の助けになるとともに、意図せぬ誤訳に陥るか否かの差は、普段あまり意識することの少ないほんの些細なことだったりするのです。