沖縄県宮古島諸島が舞台のドキュメンタリー映画。

冒頭シーンから引き込まれていった。
音楽監督でもあり、出演者の一人でもある久保田麻琴さん。
紀伊半島の熊野のシーンから始まり、エンディングにもまた、ここの風景が出てくる。

特に印象に残ったシーンを書き連ねてみる。


深く刻まれたシワが、美しいと感じた、トヨおばあちゃんのお話。


何もない時代には、何もないことが当たり前だったわけで、受け入れ、工夫して、逞しく生きてきた人の言葉は、けして重くなく、さらりと語っている。
だからよけいに有り難く、美しかった。


かと思えば、親友のマツさんと、二人で手をつないで、歌を唄いながら、楽しげに歩いているシーンは、可憐な少女のようで可愛くて、人生の大先輩であるけれど思い切り抱きしめたくなった。
色んな試練を乗り越えてきた人の、強さと美しさを感じた。


宮古島の歴史の中には、約270年位もの間、「人頭税」が課せられ、奴隷制のような厳しい生活を島の人々が送っていた事実があることもはじめて知った。


日々の辛い労働を忘れるため、人々は、仲間とともに唄って踊った。


時折、映画の中で古いモノクロの映像がはさまれていて、とても印象的だった。1960年代らしい。
子供達も、大人も、みんな笑っていた。


そして、御獄(うたき)での神事で歌われる「神歌」や、それを唄い継ぐ女性達の覚悟も描かれていた。

神とは、かけがえのないもの、と言っていたが、その神とは、いつも身近にあって、いつも感謝する存在なんだな。と思った。


そうそう、三線の天才少年として先日の「朝イチ」でも取り上げられていた、雄太君。ステージで歌を度忘れしてしまい、長い時間泣いていたんだな。でもそのあと、唄い出したシーンが、とても感動した。


最後のほうのシーンで、トヨさん、キヨさん、マツさん(90歳を超えている3人の美しきおばあちゃん)が、2009年、草月ホールでの「神歌」を唄う場面は、自然と涙がとめどなく流れてきてしまった。


純粋で、逞しく、明るくて、気取らず、気負わず、知的で、美しかった!



見終わって、シーンとした場内で、自然と拍手していた。そうしたら、みんなも拍手した。



第64回スイス・ロカルノ国際映画祭では、鳴りやまない拍手と歓声だったそう。

今、日本人である私達が、日本で観ることができる、この機会に感謝して、劇場に足を運んでみませんか?とっても、有難い映画です!