命の名前…
私からのたったひとつの贈り物

名前を決める時は
その子の生い立ちを想像し
自分の想いや決意を込めてきた。



《六希~ろっき》
100匹以上の犬達と劣悪な環境で生まれ育ってきた子。
食べ物がなくて石をかじっていたように犬歯が丸みを帯びていた。
ケンカに巻き込まれないようにいつも物影に隠れて過ごしてきた子。

我が子に迎えたのはすでに12~13歳。
犬の十戒の約束…
一緒に過ごす時間はきっと長くはないだろう。

十戒のうち絶対六個は守るからね。
貴女の希望はどうかな?って我が子を見つめた。

他の戒めは守れたかどうかはわからないけど…
第十の戒め『最期は側にいてください』…
これは守れたよね 六希…


《羽鈴~ぷりん》
東日本大震災での被災犬。
震災の前はカタカナで『プリン』でした。

シニアを過ぎて名前が変わるのはどうなんだろう?
震災がなければきっと幸せに暮らしていたはず…

よび名、音を変えずに我が子の証しとして漢字をプレゼント。

軽やかな鈴の音のような天女の羽衣のように、これからの命が羽ばたきますように…

あっという間に『ぷぅ』になってしまったけれど。


《文殊~もんじゅ》
仙台市の犬の殺処分ゼロ達成。
この子でそれが崩れるのではないかと…
処分に一番近い子でした。

トライアルに行くも戻ってきた。
兄妹達は幸せへと旅立つ中、最後まで残っていた子。

これから父ちゃん母ちゃんと3人で生きて行こうね。
三人よれば文殊の知恵だよ。
仏様のお力をお借りしようね。


《美命~みこと》
素人繁殖屋が、ゴールデンと柴との子達を『雑種』は要らないと保健所に持ち込む所をレスキューされた子。

この子も、兄妹達が幸せになるのをずっと見ていた子。

残り物には福来る。
生きているだけで美しい命。


《芽生~めい》
出雲の地で懸命に我が子達を生み育てた野犬の子。
人間が怖くて怖くて声も出せない。

もう大丈夫。
新たに命を芽吹かせるんだよ。
命を生きるんだよ。


《愛咲~あこ》
素人繁殖屋崩壊で持ち込まれた母犬が保健所で生んだ子。

天真爛漫な子。
甘えたいのに上手く甘えられない子。
遊び方が上手な子。
誰からも愛され笑顔の花が咲きますように。


《千寿~せんじゅ》
どんな経緯で収容されたのか。
当時は右手骨折していた。
それ故譲渡対象から外れ、職員の方のお情けで助けられた命。

もしかしたら右手は使えなくなるかも…
それならば千の手を持つ観音様にお力をお借りしよう。