8時半。

看護婦さんがやってきた。
ストレッチャーで手術室へ移動。

手術室は分娩室と同じフロアなんだな…
ぼんやり考えた。
朝6時頃にバイタルチェック。

手術は8時半開始。

あ、なんだか実感がない。
涙も出ない。
本を読んだり携帯を見て、気持ちを落ち着かせていたら気づいたらうとうとしていた。

消灯時間になっても誰も来ないし、自由だな…

お腹の赤ちゃんと過ごす最後の夜…
また会いにきてね。
一頻り、部屋で泣いた。

気持ちが落ち着いてから、コンビニへ行く。
今の私にはお菓子を食べるしか楽しみがない。

同じフロアにいる幸せそうな妊婦さん、赤ちゃんと退院していくママ達の姿を見るたびに、気持ちが沈む。
手術は翌日なので、入院日は内診と前処置。

母は同意書にサインしてすぐ帰宅。
内診の時にもう心臓は動いていないですよね?と質問してみた。
希望はないと思っていたけど、確認したかった。
結果はもちろん……
こらえていた涙が溢れて落ちる。


次に前処置でラミナリアを入れる。
子宮口を開くために海藻のようなもの。
麻酔はないため、とても痛い。
ピンセットでツンツンされるような感じ…
痛すぎる。
もういやだ。処置が終わっても涙は止まらなかった。
淡々と、その日はやってくる。

大学病院での手術。
部屋は2人部屋を1人で使わせてもらうことになった。
両親が送ってくれ、母が手術の同意書にサインをしてくれた。
本当に手術するんだ…もう妊婦ではなくなるし、
お腹の赤ちゃんと一体でいられるのも、あと少しなんだ。
毎日ずっと情緒不安定。
それでも息子の存在に救われる。

お腹の赤ちゃん、お空に帰っちゃったよ。
ママ悲しいんだ…

と、伝えると

ようちゃんも悲しい…とひと言。


あ、ここにも赤ちゃんのことを悲しがってくれる人がいるんだ。

一気に心が楽になり救われた。
なかなか眠れない。
ネットで流産のことを調べるのが癖になっている。
そして流産のことを考え出すと動悸。
昼間はこんなことないのにな…
次の日は会社へ。
長期でお休みをいただくこと、話す際に涙が出そうだった。

旦那は海外出張で不在。
悲しみを共有して欲しい人がいない。