
能『杜若』のシテは草木の杜若の精でありながら、初冠や唐衣を身に付けているので、業平や二条后、遂には歌舞の菩薩にもなってしまう変わり身の早さが特徴です。しかし基本は草木・杜若の精である、と思ってご覧いただきたくご案内申し上げます。
私は『杜若』を勤める時、見所全体が、美しい杜若がたくさん咲いている、と想像して演じています。
ご覧になられているお一人、お一人様が一輪の杜若、とも思っております。
ご自身「自分は今は杜若の花である」と、思っていただけたら、演者と見者の心が一つになり、舞台に感動が起き世阿弥の解く「華」が咲くような気がいたします。


