
『西行桜』ご鑑賞にお役に立てれば、と思い物語をご案内いたします。
静かに隠遁生活を送りたい西行は世俗の騒がしい花見客をあまり快く思っていなかったので、従者(アイ)に庵での花見を禁止する旨を周知するよう命じます。
西行は無下に断れず、花見客を庭に招き入れますが、静かな環境を破られた思いを
「花見にと、群れつつ人の来るのみぞ、あたら桜の科(とが)にはありける」
(花見を楽しもうと人が群れ集まるのは桜の罪だ)
と、歌を詠み、花見客と一緒に桜の木蔭で眠りにつきます。
さて眠りについた西行の夢の中に老人が現れ
「非情無心の草木の花に浮世の科はあらじ」
(草木には心が無いのだから、花に罪はない!)
と、西行の詠歌に異議を唱えます。
直ぐに西行は納得し、老人に正体を尋ねると、老人は老木の桜の精であることを 明かします。
老木の桜の精は、桜(自分)に罪のないことを知らせたく現れますが、実は西行と 知り合えたことを喜び、都の花の名所を数々紹介します。
やがて春の夜の時の流れの早さを惜しみ舞を舞いますが、春の夜が明け初める と、桜の精の姿は静かに、跡形もなく消え、西行の夢はそこで覚めるのでした。
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