3月1日(日) 国立能楽堂にて『朝長(ともなが)』を勤めますので、演能にあたり曲目のご紹介と演能への思いなどをご案内いたします。

まず「朝長って誰?」
朝長は源氏の武将・源義朝(よしとも)の次男で16歳で亡くなります。
義朝親子は平治の乱にて平清盛と戦い敗北して、都落ちします。

能では、義朝の長男・悪源太義平は平家方に生け捕られて斬首され、三男の頼朝は弥平兵衛に都に送られた、と史実通りに謡いますが、次男の朝長に関しては、膝に矢傷を負い、美濃の国青墓の宿に着いた後、史実では父・義朝によって不甲斐ない息子として朝長は斬られてしまいます。
ところが、能では史実と異なり、
「味方の足手まといになりたくない、雑兵などに討たれて犬死するくらいならば・・・」
と、朝長みずから潔く自害する演出となっています。

(能『朝長』シテ粟谷能夫 撮影 東條 睦)

何故、自害するように物語を変えたのでしょうか?

『朝長』は以前は世阿弥作とされていましたが、前シテと後シテが同人物ではない事、また史実を曲げての演出は世阿弥らしくありません。
命の尊さをテーマに、父世阿弥とは異なる作風で悲劇を得意とした十郎元雅の作ではないか、と現在は考えられ、私もそう思います。
16歳のまだ若い我が子を実の父が斬るという無惨な史実を、自害する演出によって、より朝長の健気さ、将来ある若者の死の痛ましさがクローズアップされるだろう、と考えたのではないでしょうか。




2月14日(金)19時より
国立能楽堂・大講義室にて事前鑑賞講座がございます。
その時は、より深くお話しさせていただきますので、皆様のお越しをお待ちしております。



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