イメージ 1

 洗礼堂を出て通立つとまた別の方位に、コロッセオと思しき建造物の影が霞んで見えます。カメラの倍率を挙げて撮影してみました。
 こうしてほとんど初めて訪れたローマの街角が、以前にはまるで渦巻きつつある混沌とした、名所旧跡がばらばらに配置された星座のような異教的な神秘性を去って、朧げに、わたくしの頭の中の地図帳に少しづつ位置づけらていく感慨のなかで、ローマにあるのだなと云う思いを新たにします。
 そうして、どこか思い出のパニスパルナ通りに似たところのある、何気ない普段着の街並みの連なりの、起伏を繰り返す人気の途絶えた坂道をコロッセオの方に歩きながら、春の陽光を浴びて霞んだ路地の先に、サンティ・クワットロ・コロナ―ティ教会の中世風の古風でくすんだ屹立する鐘楼の影を認めたとき、なぜか映画『薔薇の名前』の最後の場面、焼け落ちる図書館の八角形の塔と修道院をあとに残して異端審問の予感から逃れていく二人の修道士の影を!思い出していました。
 今回のローマ滞在でどこがハイライトかと考えた場合に、決して長くはないのですがコロナ―ティ教会に向かうこの時代離れした坂道を思い出すでしょう。このあと何か映画を思わせるような不吉な出来事に遭遇することもあるべきか、などと思わせる古風な中世の威厳と云うものが感じられる界隈でした。


イメージ 2



イメージ 3



イメージ 4



イメージ 5



イメージ 6



イメージ 7



イメージ 8