彫像のほかに、ローマの上流の市民生活を彷彿とさせるフレスコ画とモザイクの数々が展示されてある。
 フレスコ画では、特にアウグストゥス帝の皇妃であるリヴィアの家が有名である。青を基調とした、いっけん透明な寂しさをも感じさせる皇妃の人柄を彷彿とさせる。
 ローマのラピスラズリが、、華やかな花々の植栽を描きながら、透明で、涼やかな都会的な抒情を感じさせるところに文明の洗練と云うものを感じます。
 こういう家に住んでいた人を訪ねたいと云う気持ちに誘われます。


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  フレスコ画に比べて、モザイク画は鮮やかな色調を残しています。ただ、どれにしても、人物の表情がとてもモダーンです。ローマは彫像ではあれほどのレアリズムを示しながら、どこか当方ビザンチン美術に繋がっていくような素朴さが感じられます。

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 フレスコ画には地上の小動物たちとともに海の魚類が描かれていますが、地中海を中庭のように抱え込んだ巨大な帝国が、一方で陸路に関する記述のみが大勢を占めて、海戦と云えばクレオパトラのアクティウムの海戦を除けば日本ではあまり紹介されたことのない海のローマのイメージが、プライベートな邸宅を飾る装飾としては好んで取り上げられていたことが分かります。
 往古は、ティヴェレ川を遡ってきた船着き場が市中に数か所あったはずで、こうした魚介類とのお付き合いは日常生活のイメージのなかにしっかりと保存されていたと云うことでしょうか。
 いずれにしても、かれらが規範として仰いだギリシア人ほどは海を民族的な経験として描いたことは少なかったような気がします。むしろローマと水の接点は、川であり、水道橋であり、公衆浴場であり、暗渠であり、地下水路を巡って噴出する数多くの噴水たちであったような気がします。
 実際には、海神たちも彫像として数多く描かれました。