娘を思いやる母の姿 | 相続書士® 青木克博

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福井県内唯一の相続専門事務所

数年前になりますが、事務所に突然いらっしゃった

 

素敵なお客様のことを思い出しました。

 

そのお客様は、

 

お母様を亡くされた娘さんなのですが、

 

結婚して以来、離れて暮らすようになってからは、

 

お母様と会う機会も少なくなり、

 

生前中は、そんなに話し深い話もできなかったそうです。


 

このお母さんですが、一人で暮らしていたわけですが、

 

その際に、

 

娘への手紙をたくさん書いていました。

 

ただ、その手紙は投函されることなく、

 

ずっとお母さんの手元にありました。

 

お母さんが亡くなった後、娘さんはその手紙を見つけ、

 

中を確認してみると、

 

そこには、娘を心配する母の気持ちが

 

延々と綴れていたそうです。

 

 

寒くなったが、風邪などひいていないか。


 

旦那さんとはけんかしていないか。


 

息子のPTAには参加しているのか。


 

ちゃんと手料理は作っているのか。


 

延々と。

 

何通も何通も。

 

 

封入のみで切手は貼らず、

 

宛名も書かれてはいない手紙。

 

 

もともと、出すつもりのない手紙。

 

無償の愛で娘を思いやる母の姿。




 

事務所を訪ねて来られたその娘さんは、

 

私にこのように言いました。


 

「私は、母のこんな性格を受け継いでいきたいと思います」

 

 

私は、自然に笑顔でうなずきました。

 

「もう 受け継いでいらっしゃるじゃないですか。」

 

 

初対面の私に、こんな愛溢れるお話をしていただけた

 

その娘さんの心優しさが伝わってきました。

 

 

正に、これは「こころの相続」でした。

 

私の相続の概念を覆された一瞬でした。

 

財産目録には現れない、

 

決して評価額の出ない財産。

 

命、愛、心、優しさ、温かさ、雰囲気、情熱 

 

何を相続するか とかいう次元の問題ではないのです。

 

本当に大切な財産というものは、すでに受け継いでしまっているのです。

 

 

 

そんな貴重な財産を私も残していきたいと思います。

 

 

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