AKB48には、東京・秋葉原の専用劇場でほぼ毎日開かれている
公演に行けば必ず会える。この「会いに行けるアイドル」が
彼女たちの人気を支えている。

仕掛け人は、昭和60年代に一世を風靡(ふうび)したアイドルグループ、
おニャン子クラブを手がけた秋元康さん。「将来は全国7大都市に劇場を建て、
選抜メンバーでJAPAN48を作りたい」との夢を描いている。

AKB48は、秋元さんの夢の結晶だ。劇場型アイドルの構想を得たのは、
10年ほど前のこと。「学生時代にあこがれていた小劇団を自分も作りたい」と思い立ち、
平成17年12月、秋葉原に劇場を持った。「今は映画も音楽も売れない。
でも、自分でそこに行かないと見られない生のライブだけは伸びている。
それに目を付け、未来に続くエンタメを目指した」と打ち明ける。

グループ名は秋葉原の略称、アキバの頭文字を取った。数字の「48」には「特に意味はない。
未来に続くアイドルでありたいとの思いを乗せて、無機質な商品番号をイメージした」というが、
現在のメンバーはくしくも48人。16人ずつ「A」「K」「B」の3チームに分かれて舞台に立つ。
デビュー当時は総勢20人だった。名古屋に劇場を持つ姉妹グループのSKE48や研究生なども
入れると131人(1日現在)にも膨れるが、「劇場を守るには、それでも足りません」。

メンバーはオーディションで選ばれた10代が中心。昨年には米ニューヨークのほか
フランスのパリやカンヌでも公演を行った。「歌もダンスも一流アーティストには及ばないが、
舞台に制服姿で立つ女の子たちのチャーミングさや勢いだけで観客は驚いた。
目の当たりにしたときに、『なんだこれは!?』と感じさせることがビジネスの勝機につながると感じた」

(続く)