面会で父とあった母は、驚いたようでした。集中治療室にいた時も、病院の車椅子に乗せて面会させましたが、車椅子で2度も来るとは思わなかったようです。嬉しそうに、手をつかんでいました。

突然、父が母に
「大丈夫。医者に聞いたけど、回復が早いから、すぐ家に帰れるよ」
と言いました。口からでまかせです。

医師に私と妻が話したのは、倒れて3日目と4日目でしたかね。その時は最悪で、梗塞が広がっており、若い女医は、よくても右手足は動かないまま、言葉もしゃぶらないまま。悪ければ、植物人間の手前だろうと言っており、植物人間も覚悟しました。

その後、母は、奇跡的に回復し、右手足が動くようになりました。言葉は分かりませんが、断片的に、こういうことを言っているんじゃないかと、何となく分かるときがあります。

ただ、回復したと言っても、発病前と同じではありません。当然のことです。

22日に、主治医の女医が話しをすると言われているので、どれくらいで退院になるのかが分かるのじゃないかと思いますが、退院後のリハビリ病院での訓練を含め、半年はかかるでしょう。それでもだめなら、施設で面倒を見てもらうしかありません。

父は母を励ますつもりで言ったのでしょうが、数ヶ月かかって、いや1月もかかっても、家に帰れないとなると、母はがっかりして、やる気が失せないかと心配になりました。なぜいい加減なことを言うのか。

だいたい自分はリハビリをばかにして、2ー3回に1回は、疲れたと言って休んでいて、自宅に帰って来たら、自分でやろうと思えばできるのに、母にすべて頼り切ってきた父です。母が多少よくなって帰って来れば、また面倒がみてもらえると甘い考えてを抱いているのではないかーという疑いが浮かんだ次第です。

母は耳が遠いので、父の言ったことが聞こえなければいいが、と思っています。

母のベッドの頭が高いのじゃないかと父が言って、慌てて下げるボタンを押した妻。体が下に下がっているんじゃないかと言うので、私が上げましたが、40キロない母でも、自分で動かせない体は重く、どうしても力を入れざるを得ず、スムーズに動きません。その度に父は「もっと丁寧に」と言いますが、思わず「あんたがやったらどうか」と言いそうになりました。

本当に疲れた。