言われた所を読んで行く。

2月4日に入営通知の電報が自宅へ届いた。公威は〈天皇陛下萬歳〉と終りに記した遺書を書き、遺髪と遺爪を用意した[132][133][46]

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同年2月6日、髪を振り乱して泣く母・倭文重に見送られ、公威は父・梓と一緒に兵庫県富合村へ出立した[46]。風邪で寝込んでいた母から移ったせいで、気管支炎を起こし眩暈や高熱の症状を出していた公威は10日の入隊検査の折、新米の軍医からラッセルが聞こえるとして肺浸潤と誤診され即日帰郷となった[46][34][135]。その部隊の兵士たちはフィリピンに派遣され、多数が死傷してほぼ全滅した[34]

戦死を覚悟していたつもりが、医師の問診に同調したこの時のアンビバレンスな感情が以後三島の中で自問自答を繰り返す[15]。この身体の虚弱から来る気弱さや、行動から〈拒まれてゐる〉という意識が三島にとって生涯、コンプレックスとなり[136]、以降の三島に複雑な思い(特異な死生観や〈戦後は余生〉という感覚)を抱かせることになる。》

美代子の言った箇所は、だいたい読む終わった。金山と酒井は、読み終えているようだった。大口は、私が読み終えてから1ー2分後に読み終えた。

「先生、この続きも読みましょうか」

「いや、時間がかかるからいいわ。興味があったら、家で読んどきなさい」

なんだ、美代子が先生だって。ふん。面白くないから、大きく咳払いした。その気分が伝わったのか、誰かが小声で

「宗匠は先生より上ですから」

と言った。