「そんなの当たり前でしょ」
「えっ、政治家が口先だということがですか」
大口が驚いた。

「あなた、いくつ。二十過ぎてるんでしょ。なのに、そんなことも分からないの」
「まいったなあ」
大口が頭を搔いた。

「いい、政治家はもっともらしいことを言ってるわね。左は左の主張、右は右の主張をね。左は党の方針に従っているだけのところや、だいたいその傾向が分かるわね」
「はあ」
3人が肯く。

「でも、中道や右は、融通無碍、柔軟性があって、対応力があるけど、予測がつかない。これは、左は自分の考えが支持されなかったら落選しても構わない、世の中が間違っているんだからという、よく言えば信念がある、悪く言えば教条主義なのよ」
「なるほど」
3人が言う。
「右は、昔はそれぞれ様々な考えがあったから、ある意味幅広い意見があったのよ。ところが、ここ10年ほどは世の中が右傾化したせいか、もともと右翼の政治家が大手を振って、そういう発言をするようになった。小選挙区制導入もあって、親の時代から地盤があれば簡単に当選するしね。そういう政治家は、右翼の人達や団体と結びつき、右の教条主義になっているのよ」
「あのー、右翼とおっしゃいますが、保守ではないのですか」
酒井が聞く。

「彼らが保守?聞いて呆れるわ。右翼反動だわ。もっとも、右翼反動は見せかけだなら、右翼反動ですらないかも知れないわ」
「どういうことですか」
金山が口を開いた。
「長くなるけどいい?」 
「もちろんです」
3人が言った。