皆、音の大きさにシーンとなった。

「落ち着いて」
声にならない。もう一度言おうとする。
「聞こえない」
また雷が落ちた。

「お、奥さん、言い分があろうかと思いますが、我々は納得づくでご自宅にやって来たわけでして、それがいけない理由とかがあるんでしたら、おっしゃってください。ただ、ご夫婦間の話は、我々が帰った後でお願いします」

一番冷静そうな金山が、恐る恐る言った。

腕を組んだ美代子は何も言わず、金山の目を見つめた。金山もじっと見つめ返したが、微かに手が震えている。そのうち、耐えきれなくなったか、視線を外した。その金山の姿の上を美代子の視線がサーチライトのように、ゆっくりとたどっていくのが分かった。

「それもそうね。楽しみにしていた旅行を潰されて頭に来ていたのだけど、あなたたちには関係ないことだから、後にするわ」

こ、殺される。3人に目で助けを求めるが、誰も知らん顔だ。

「だいたいね、猫道なんてこの馬鹿が考えついたことよ。それを言うまま信じるなんて、あんたたちも相当間抜けね」

3人の視線が一斉にこちらを向いた。「ほ、本当ですか」

黙って肯くしかない。

「あぁ」
「えっ」
「な、なんと」
落胆の声が上がった。