小説「猫道(びょうどう)」86金山が指さした先、美代子の背後には、玄関の門に取り付け、なかなかはずれなかった猫道の看板が、壁に立てかけてあった。それを見て、金山は驚いたようだ。「ミ、美代子、おまえ、その看板、誰かに取ってもらったのか」「え、なに」私は看板を指さした。「ああ、これ。誰にも手伝ってもらっていないわよ」「ドライバーがあったのか」「そんなものないわよ」 「ど、ど、ど、どうやって外したんだ」 「どうもしないわ。手で外したのよ」 それを聞いて、金山ら3人はわーっと大声を上げた。