リビングのドアが突然強く開いた。金山ら3人は、突然のことなので、ビクッとし、その後すぐに、ワッと言って3人が顔を一カ所のところに集め、手で目を覆った。

一升瓶を持った手がブルブル震えだした。声をあげようとするが、声が出ない。

ドアを片手で持っていた妻が口を開いた。
「あなたっ」
「み、み、美代子、は、は、早かったじゃなないか。き、今日帰って来る予定だったかい」
「違うわ。あなたが電話に出ないから、川上さんの奥さんに電話して聞いたら、家にへんな看板がかかっていると聞いたから、切り上げて帰ってきたのよ。おかげて何もみられなかったのよ。さっきから外で話を聞き、だいたい事情は分かった」
その時、顔を上げた金山が、美代子の背後を指差し、
「アヤー」
と素っ頓狂な声を上げた。