アメリカが、南シナ海で中国が埋め立てている人工島について、その12カイリ以内に艦船を派遣することを考えているという。国防総省や米軍が派遣を訴えてきたが、オバマ大統領の周辺が待ったをかけてきたという。この間の中国艦船のアラスカ沖での米領海侵犯(ただし、国際法の則り無害通航)で、風向きが変わってきたという。

時すでの遅しかもしれないが、そうなれば中国も多少は考えるかもしれない。

これまでに何度か書いてきたように、埋め立てをしているのが分かった時点で、空母か上陸強襲艦を遊弋させていれば、中国は震え上がっただろう。それを放っておいたのは、オバマ政権の怠慢である。

国には、それぞれなすべき義務と言うものがある。オバマ大統領が「米国はもはや世界の警察官たりえない」と言ったその瞬間から、中国の南シナ海への動きが活発化した。米国を最大の拠り所としていた国々は、そんなことを言われたら、何を頼っていいか分からない。米国は、各国の軍事負担と言うことを考えたのかもしれないが、日本には平和憲法がある。安倍首相は解釈改憲を考えているようだが、それでも、南シナ海で自衛隊が行動できるかどうかは、大いに疑問だ。

日本は、それができないから、思いやり予算を組んでいるのだ。ところで、この思いやり予算、日本政府が多額の金を払っているが、半分くらいが、バックぺいとして日本の業者からアメリカ軍関係者に渡ると財務省の元官僚が言っていたが、まあそれでも、日本を守ってくれているのだから、知らん顔しよう。

軍事国家アメリカの役割は、自由主義国家のリーダーとして、戦争を予防することにある。その他の同盟国は、そのアメリカの力を背景に、ロシア、中国、北朝鮮を説得することである。なかんずく、第二次世界大戦で多くの国を侵略したドイツ、日本には、特に外交面において努力すべきである。

中国の南シナ海でも傍若無人な行動が、習近平国家主席に直々の指令によるものか、あるいは江沢民元主席一派の策謀によるものか慎重に見極めるべきだが、これ以上の埋め立てを止めると言ってから、それがストップしているなら、米国が艦船を派遣したうえで、人工島の破壊を交渉すべきである。当然、ベトナムの人工島やフィリピンが建設中の人工島もその対象となる。もし、埋め立てを続行していたなら、ベトナムやフィリピンに、米軍監視の下でさらに埋め立てをやらせるしかあるまい。特にフィリピンは、人工島を米軍に使わせるような新条約を結ぶのだ。

これにより、中国は米国の本気を思いしり、好戦派の立場も悪くなろう。

もっとも、その前に、遅れたとはいえ、艦船派遣だけでも十分効果があろう。
習近平が軍隊を完全に掌握すれば、悪くて現状維持、よければ完全解決されると思う。ものごとをすべて悲観すべきでない。まずアメリカに力を見せてもらう。その後に交渉である。中国も、習、李克強も馬鹿ではあるまい。