少し前に従兄弟に電話した。歴史好きの彼だからNHKの龍馬伝を見ているだろうと思ったのだ。そこで、NHKの歴史を歪曲する嘘のドラマ作りを徹底的に糾弾してやろうと思ったのだ。ところが、あれほどの歴史好きの男が見ていないという。その理由は
 「昨年、天地人を見ていて、ばかばかしくなった。直江兼続の兜が愛なのを、人間愛だとかに解釈していたが、あの戦国時代にそんな解釈はないはずだ。そんな作りもののドラマなんぞ見たくないと思った。それで途中で見るのを止めてしまった。それ以来、大河ドラマは見てない」
 というのだ。
 私も、まったく同じ時期に「天地人」を見るのを止めて、「龍馬伝」が始まっても見る気にならなかった。それが、2月になってたまたま見てしまったら、福山雅治の公演もあって、なかなか面白いので見てしまった。
 しかし、歴史の歪曲、創作は相変わらずだ。今日は、脱藩する竜馬が、高知から30キロも離れた安芸市にある岩崎弥太郎の家まで行って、帰りは深夜になったかのように、ようやくつじつまを合わせていたが、竜馬が土佐にいたころから岩崎と顔なじみだったということはおそらくなかったと言う。最初に会ったのは、おそらく、岩崎弥太郎が藩から、脱藩した竜馬の処分を命じられて土佐から出てそこで竜馬を見つけたとする説などが有力だという話を聞いた。これもNHKだから信用はできないが、40年ほど前の司馬遼太郎原作のNHKドラマ「竜馬が行く」ではそうなっていたはずだ。原作は読んだが、詳しくは忘れてしまった。
 まあ、武智半平太が吉田東洋を、自分の才能を認めて九らないので、それを土佐勤皇党の公憤とすり替えて暗殺したとするような解釈は、面白いし、人間心理は分からないんで認めても言いだろう。また、竜馬の脱藩を家族が事前に知って、旅に必要なものを整えたと言うのもいいだろう。
 というようなことをドラマで見ているうちに、なんやら、ドラマとしては面白いなあという自分に気がついた。
 まあ、しょうがないか。面白いからなあ。
 ただし、やはり、最初と最後に
 「これはドラマなので、史実とは異なるところや、あやふやな話をもとにしているところがあります」
という言葉くらいはほしいという気持ちは変わらない。「」