ライブから帰宅し、配信のリピートを観ながら23日が終わり、SNSに溢れるファンの書き込みを、ただひたすら読み続けて朝を迎える。
TV各局の朝のニュース番組は、ライブの模様も交え、ドーム前のファンの様子を報じている。
仕事に行きたくない。
日常の生活に戻りたくない。
後ろ髪を引かれながらというより、まだどっぷり余韻に浸りながら、いや、余韻ではなくライブの興奮のまま家を出る。
ロスを感じるのは、きっともっと先になるのだろう。
Perfume以外の音楽を聴く気にならず、Perfume以外の話題にも気持ちがいかない。
まぁ、無理に切り替えることはないさと自分に言いきかせる。
ふわふわしたまま仕事をやり過ごし、帰宅後、伝説の「道夏大陸」をYoutubeで観て、それから久しぶりに「TOKUTeeeeeeeeeeN!!!!!」を観て、ひとしきり泣く。
ThreadsがPerfumeに関連する投稿で埋め尽くされ、それを読んでいるだけで、あっという間に時間が過ぎる。
これからコールドスリープに入るというのに、この多幸感はなんだろう・・・。

 

ひとつ困ったことができた。
「巡ループ」を普通に聴けなくなってしまった。
Perfumeが主題歌を歌っているからという理由で観た、映画「ちはやふる」に思いの外はまり、映画3部作はもちろん、先日まで放映されていたTVドラマ「ちはやふるーめぐりー」も観て、年甲斐もなく感動したので、僕の中ではその世界観で「巡ループ」は存在し、曲にあわせて脳裏に浮かぶのはドラマのシーンだった。
9月21日のメッセージ、22日・23日の東京ドーム公演を超えたら、「巡ループ」はPerfumeの歩みを歌うものに変わった。
そしてそれは、一度閉じたループが再び巡ってくることを、高らかに、清らかに宣言したものとなって心に響く。
なので、涙なしに「巡ループ」は聴けない。
「あの日の僕たちが巡ループ」と、Perfumeが目覚めて歌うその時まで。

1日目はとにかく圧倒されたステージだった。
「もう一度あの日から始めよう・・・」という3人の声に続いて、キューブ状のセットが映し出された瞬間に、2020年2月26日から繫がっているとわかり、GAMEのイントロとともに涙腺は崩壊。2曲目に再生を選曲されたらもうKnockOut。
そこからネビュラロマンスの世界観とPerfumeの歩みが重なり、後篇の完結まで「しごでき」キモモの回しでストーリーの流れから外れないようにしつつ、かつその間に「Perfumeの掟」をぶっ込む、これでもかという演出。
NAKATA REMIXによるDANCE TIMEは正直もの足りない曲数ではあったけれど、3人が心の内を直接話す時間をたっぷりとるには、きっとあれがMAXだったのだろう。
ポリリズムで皆リミッターが外れ、5万人の「Say Yeah!!」とチョコレイト・ディスコは圧巻。きっと最後はこの曲と思っていたMY COLORは、まだ聴きたくなかったという想いもありつつ手をあげ、身体は動く。
この時間が一生続けばいい、このまま3人と一緒に、東京ドームごと凍結してほしいと願うが、時間は止まらない。
あっという間の3時間。

 

2日目は少し落ち着いていられるかなと思いきや、アリーナF12ブロック8列1番、バックネットに近い花道先のステージのほぼ真横の席で、(六十肩の痛みを忘れるほど)すっかり舞い上がる。
ネビュラロマンスのパートでやや落ち着いた時、一時活動を休止することと、コールドスリープというキーワードは、かなり前から決まっていたんだろうなと気付く。
緻密に練られた公表のタイミングと、すべてのプロセスがそこに収斂するよう構築されたスケジュール・・・チームPerfume恐るべし。
後半、Episode1が日替わりセットリストだったので、NAKATA REMIXも曲が変わるかという期待は外れたが、MCの中身はまったく異なり、コールドスリープはスタッフからの提案だったと聴き、今日一で泣いた。
それですべての伏線が回収されたように感じた。
GISHIKIから、本当に目の前で奈落に沈むかしゆかの、正面を見据え、清々しいともいえる横顔を、僕もとても穏やかな気持ちで見送ることができた。
SEE YOU AT THE NEXT STAGE

初めてPerfumeのライブに参加できたのは、2018年2月15日の「P.T.A.発足10周年!! と5周年!! ”Perfumeとあなた” ホールトゥワー」だった。
どうしてもチケットが取れず、これはもうファンクラブに入るしかないと恐る恐る(アイドルのファンクラブ入会は生まれて初めて)P.T.A.に入会して、ようやく手に入れたチケットだった。
ステージは遠かったけれど、歌っている姿をみるだけで涙が溢れた。
それは幾度となく様々なライブに参加した現在も変わらない。
いつしかライブに参加できるのが、当たり前とまでは云わないけれど、Perfumeのライブを見逃すことがなくなってしばらくして、2018年2月の感動を思い起こさせるステージがあった。
それは2022年8月20日の「Perfume 9th Tour 2022 “PLASMA”」、有明アリーナの杮落としとなったこの公演は、たまたまアリーナの良い席にあたり、ツアーTシャツも着て気合い十分。いざ開演時間となり、3人がまるで天使のように空から降りてきたその瞬間、前列の女性が崩れるように号泣し、隣の席の(たぶん)妹さんに抱きかかえられていた。きっと初めて観た3人に感激したのだろう。泣き崩れるというのはこういうことだという姿に、なぜか後ろの席の僕までもらい号泣・・・、そう、きっとこれがPerfumeのライブの魅力なんだと思う。
思い返せば、僕がPerfumeを「推し」はじめたきっかけは、2009年に発売されたDVD「BUDOUKaaaaaaaaaaN!!!!!」の特典ディスク「TOKUTeeeeeeeeeeN!!!!!」で、彼女たちの武道館までの道程をまとめた映像を観て号泣したところからだ。
単なるサクセスストーリーではなく、人を惹きつけて、その感情を(素で)揺さぶるパワーがある。

そんなことを思い出しながら、グッズ販売の列に並んでいた。
1階スタンド1塁側20列281番、左は通路・右は空席・・・悪くない。でも、チケットを購入して来られなかった282番さんの無念を思うと、喜んでばかりもいられない。
「もう一度あの日から始めよう・・・」
1曲目から圧倒されたライブの中身は明日へつづく。