ひとなどいない。


県外に住んでいる、旅行が好きな友人から、「現実逃避に国外逃亡しよう」というメールがきた。


 金がない、

 現状もきにいらない、

そんな私が

 悠長に海外旅行が、

できるわけがない。


すこしダメになり、愚痴めいたあきらめメールを返してしまう。


書きすぎたかなと少し後悔していると、翌日漸く返事がきて


「君の状況を知っていたはずなのに無理を言った」

と、詫びの文章が書いてあった。

「仕事と家庭がうまくいかなくて」

と。


「来月顔見にそっち行くから待ってろ!!!」


急につよくなって、そう返してしまった。



じぶんだけがと

思うことが


一番嫌いだったはずじゃないか!!!


行こう!

ひとに逢いに!!!


九日目

祖母の家に行く。


祖母がしきりと、私が東へ帰る帰らないの話題をふる。

母がイライラし始め、私はまたかと思う。


それで、先週ほど色々する気になれず、友人とメールをしたり、抹茶を飲んだり、ぼぉっとしたりする。


帰り道、しょう油とキャノーラ油を買うおつかいをしていたら雨が降ってきた。



八日目

十時頃起きると、母が贈り物にするといってティッシュケースを縫っていた。

それに添えるthanksカード、ラッピングを一手に請け負い、午前中から昼下がりにかけて従事。


その間、関東に居る友人宛に、先日美術館で手に入れたマドレーヌを梱包。

郵送。


全ての作業を思いの外集中してやってしまい、非道く疲れる。


母が肩をもんでくれた。


うまいでしょ。といわれた。


素直にうなづく。

七日目

両親と昼ご飯がてら美術館に行く為、八時半に起きる。

前日に寝たのが二時過ぎだった割に、起きられた。


移動中の車の中で、外国人が日本から脱出している、という話題になる。

でてけでてけという、論拠の全く無い母のモノ云いに、うんざりして、聞かない振りをする。

つかれる。


美術は思いの外良く、

そして昼食にと喫茶店で食べたホットサンド(添えられたサラダはドレッシングが少し掛かり過ぎていたけれど、カリッカリのパンのみみの小さく刻んだのがたっぷり入り、パプリカもキュウリも薄く切られて量も多くとても好みのモノだった)と、コーヒーフロート(銅製の丁度良いマグカップにたっぷりのバニラアイスを浮かべられていた。アイスに貼り付いているシャーベット状になったガチガチのコーヒーをスプンで注意深くこそいで食べる)がとても充足感のあるもので、

気分が良くなる。


その後両親とは別れ、友人と海辺へドライブし、綱渡りのようなもの(ちゃんとしたスポーツらしいが、どういう名前か知らない)をして、自分の運動能力のそこそこに高い事に満足する。


祖父を交えての夕食を避けて、母に先に食べて下さいごめんねというヘイコラとした文面のメールを送った。


ねばり勝ち。


夕食の時間に遅れて帰り、家族と居るのにヒトリ鍋をきめこむ。


ラジオを聴いて、寝る。

六日目

朝早く、携帯でテレビを見て、そのまままた寝、結局十二時に起きる。


今日は父と母が二人で居るため、私はかかわらない。


夜、家族で外食をしたいらしいが、弟が素直に来るようには思えず、策をめぐらさなくてはならない。


 けれど、

 すごく、

 ねむい。


私も、疲れているよう。


少し、ねよう。それからにしよう。




ああ。

からだが、

また、


ゆれる。