こんにちは、漢方医(卵)KOUです。

前回の「気」についてのブログに続いて「気虚」「気うつ」について書こうと思ったら、とても遅くなってしまいました。。

私は産後2カ月から週2日のみ(外勤先の病院のみ)復職し、その後は先月から、大学病院の常勤に復職しました。それに伴い、1歳になる息子の保育園が毎日通いになると…まぁ本当に、頻繁に熱を出すものですね…。内科小児科の外来診療もしているので、そんな子供たちをはた目からは見ていましたが、、ようやく親御さんたちの気持ちが理解出来るようになった次第です…。。

子供が具合悪いと夜も普段以上に泣き叫んだり、抱っこ病になるので、こちらの体力も奪われます…。まさに一時的な気血両虚状態に陥っていましたが、何とか大きく体調を崩すことなくやっております。


前置きが長くなってしまいましたが、このように、現代社会で暮らしている以上、子育てに限らず、様々な状況から、睡眠不足や過労が避けられないことが多々あります。

そんな時、一時的に気虚(人によっては気うつ)になりやすいでしょう。

それらを予防できるものなら予防したいですよね。そして何よりも大事なことは、一時的に気虚や気うつが起こってしまったとしても、その後それらをひどく悪化することなく、もとの状態まで改善させることです。

これはとても重要なことで、私は漢方外来を、幅広い年代層&幅広い症状に対してさせていただいていますが、だいたい気虚や気うつがひどい状態の患者さんというのは、もともとの体質もありますが、何らかの環境的要因をきっかけに発症(ないしは)増悪して、その状態を素早く改善出来ず、長引かせてしまったがために、辛い症状を訴えてきます。
ここでさらに重要なのは、「気虚」が長引くと「気うつ」も引き起こし、その逆も然りで、、要するに、気虚と気うつを合併している人が多く受診されるのです。こうなってくると、病態の初期に比べ、治療は難しくなりますし、良くなるまでの時間もグンとかかるようになります。

一例ですが、「疲れやすくて、だるくて、気持ちも鬱々して、お腹も張ったり調子が悪くて…」こんな症状が続き、どんどん悪化し、生活習慣が崩れ、ついには学校に行けない(=不登校)学生、会社に行けない(=休職ないしは退職)社会人の患者さんを数多くみてきました。

必ずしも、「学校に行かなくてはいけない」とか、「働かなければいけない」とは思わないので、それ以外の方法がある人はそれでもいいと思いますが、「行きたいのに行けない」という人がやはり多い印象です。

不思議なことに、病(ここでは辛い症状のことなど)とは、進行すればするほど、改善させることが難しく、また初期の倍の倍のその倍の…くらいの月日を要します。

いかに、ひどくなる前の、初期の対応&予防が大事か、分かっていただけたでしょうか…??



本当に 前置きが長くなりましたが、ようやく本題に入ろうと思います。


まずはおさらいですが、

「気虚ききょ」→「気」が不足してるため、疲れやすかったり、身体が冷えたり、風邪をひきやすかったりします。

「気滞きたい(ないしは)気鬱きうつ」→「気」がうまく身体を流れず、滞ってしまうことで、痛みや張りが生じたり(例えば腹痛とか腹はりとか)、気持ちが落ち込んだりイライラしたりします。


「気」には様々な病態がありますが、代表的な上2つの病態は、気を減らしすぎないこと(ないしは補うこと)、気をめぐらせること、によって予防できます。

まず、「気虚」についてです。
気を減らしすぎないこと(ないしは補うこと)に関しては、食事と呼吸が整っていることを大前提として(前回のブログ参照。例えば、1日に炭水化物を全く取らない、とかはダメダメです。)、まずは自分の持ち前の「気の限度」を把握しましょう。「気の限度」という専門用語があるわけではありません。私が説明を分かりやすくするために今 勝手に使っているだけです。

人には人それぞれ、持ち前の「気」があり、それが大きいか(疲れにくい)、小さいか(疲れやすい)、それを受け入れなければなりません。

もともと元気が溢れている人は羨ましいですね。ですが、無理してそんな人たちと行動を共にして、合わせて生活していたら、もともとの「気」があまり大きくない人は、すぐに疲れきって身体を壊してしまうことでしょう。

他人と比べるのではなく、自分自身のカラダについて、深く掘り起こして考えてみてください。

例えば、平日は元気に仕事できているのに、週末休みになると、ドッと疲れてグッタリ、ダラダラと週末を過ごしているような人は、平日の仕事(ないしはそれ以外のもの)が あなたの身体にとって、忙しすぎる(疲れすぎる) のかもしれません。

逆に、平日はだるくて何とか仕事をこなしているのに、週末休みになると元気になって、調子が良く、日曜の夜や月曜の朝になるとまただるさや倦怠感が生じるような人は、平日の仕事(ないしはそれ以外のもの)が 心の負担(ストレス、気うつを生じる)になっているのかもしれません。

自分では意識していなくても、カラダに変化がでている、その時点で、より早く気づいて養生することができれば、体調を大きく崩したり、体力をぐっと下げてしまうことを予防できるでしょう。

自分の身体はどこまでもちそうか、この忙しさに耐えられるか? →これを本能的に、直感的に分かるのは自分自身しかいないのです。

「全然わからないよ!」という人は、これまで 全く自分で自分の体調を意識してこなかったのだと思います。または、「体調のことはお医者さんにしか分からない、お医者さんに聞こう」と思っている人かもしれません。→間違いではないのですが、残念ながら、大多数の医者は、あなたの体調について、そこまでしっかり把握し、考え、アドバイスしてくれることはありません。。。(「健康になりたかったら病院を減らせ!?」のブログに書いた通りです。) 
残念ながら、時代がそのようなシステムをうまく作れていないので、結局 自分のカラダとココロを守るのは自分なのです。

すごく親身になって、あなたの体調のことを心配し、助言し、助けてくれる人がいたとしたら、それは大変幸せなことですが、本来は、自分自身が一番に自分の体調・体質のことを理解し、コントロールできるように(ある程度)なるべきなのです。
そのためには、ある程度の医学知識などは一般の人(医療従事者以外)も持っていて然るべきでは…と私は思ってしまいます…


少し話がずれましたが、決して人と比べることなく、「自分は何をすると疲れるか」今一度考えてみてください。


一般的なものでは、
睡眠不足(不規則な睡眠リズムも含む)
カラダの使いすぎ(休憩時間が少ない、など)
頭の使いすぎ(多くの仕事の掛け持ち、など)
移動距離が長い
1回の食事量が多すぎる
長風呂しすぎ(汗の出し過ぎ)
温度調整が上手くいかない(暑すぎたり寒すぎたり)

などがあります。


私は漢方外来中に、その人の生活習慣に、どこかカラダとココロに無理をしているところがあるのではないか、と疑って その人の生活習慣を詳しく聞きます。

そして、あなたの今の体調にとって「これはオーバーワークですよ」といった指摘をすることもあります。

すると患者さんは、「分かっているんですが…」といった反応と「え?全然意識していなかった…」といった反応に分かれます。

個人的なこれまでの臨床経験上では、前者の方が圧倒的に多い印象です。

「分かっているけど、今の生活を変えられない」

そう患者さんに言われて、しぶしぶ漢方薬を処方するのですが(本当は生活習慣を改善した上で漢方薬を飲むと格段に効果がいいのですが)、、果たして本当に「分かっている」のでしょうか?

そう疑問に思ってしまう患者さんは少なからずいます。自分の体調よりも優先されるべきことなんて、本当はごく僅かなはずなのです…。

(ちなみに、「疲れ」や「だるさ」以外にも、気虚から起こる症状は多数あります。
「朝おきられない」
「眠たいのに寝つけない」
「食後眠くなる」→脾気虚
「すぐ息切れがする」→肺気虚
代表的なものを記載しましたが、五臓に関連した病態を考えると、他にも様々あります。)


さて、自分にとっての「気虚」を起こす原因が分かった人が次にやるべきことは、原因の解除そして体力の回復です。

これまでの「睡眠」や「胃腸」のブログの繰り返しになりますが、いくつかのポイントをあげます。
睡眠不足解消は、早寝を重視した方がよい(例えば、AM1時に寝てAM6時に起きていた人は、PM10〜11時くらいに寝て、起床の時間は同じ、といった睡眠不足の解消がよい)。
身体を休ませる時間を作った時は、少しの時間であっても可能であれば身体を横にして(寝る)休ませるとよい。
食事は消化に優しい和食など油が多くない内容を、腹7-8分目程度に抑えるとよい(炭水化物をとらないと良いエネルギーを補充できません。肉体疲労が強い時は、肉や魚、卵などのタンパク質や梅干しや酢などのクエン酸も効果的です。バランスの良い食事、に尽きます)。
お風呂(湯船)は入る時間があるなら入った方がいいが、汗はかきすぎない程度がよい。
体温調整しやすい格好…冷え性の人は、手足の末端やお腹が冷えない工夫をする。

といったところでしょうか。まだまだ、いくらでもありますが…


試せるところから、試してみてください。
なお、とても大事な忠告ですが、、、

これまでオーバーワークだった人が、生活習慣を改善して、身体をより休めるようにし始めると、かなりの確率で、初期は「よりカラダが重だるく(疲れがひどく)感じる」ことがあります。
これは、これまで無理を重ねてきたカラダからの反応のようなものかな?と(個人的には)考えているのですが、休息をしてからよりカラダがだるくなったからといって、(自分には休息は合わないなどと自己判断して)すぐに休息をやめてしまっては、全く意味がありません。

そういった反応がでることは(よりだるくなるなど)、これまでカラダが余程ムリしていたんだな、と理解して、しっかりと休息を取ってみてください。

それが出来れば、次第に疲労による症状は良くなってくると思います。

それでも良くならない時は、いくつかの可能性が考えられます。
1…気虚がひどく、休息だけでは症状がよくならない。→漢方外来や漢方薬局などでお薬も相談するといいかもしれません。(一般的には、ニンジンやオウギといった生薬が入った処方を使うことが多いです。気虚の詳しい問診や、五臓の関連などから合った処方が決定されると思います。)
2…実は「気虚」でなく「気うつ」だった(または、「気虚」に「気うつ」を合併している。→「気うつ」は休息だけでは良くならないので、気うつの改善を考える(次回書きます)。
3…西洋医学的基礎疾患が隠れている可能性。→貧血や甲状腺疾患、更年期障害や悪性腫瘍など、虚労症状を引き起こす可能性のある疾患が隠れてる場合もありますので、病院へ受診してみることも大事です。

以上、気虚についてです。
気うつについて、次のブログに記載します。

本日のまとめ
現代社会で暮らしていると、過労や睡眠不足が避けられない状況におかれることも多く、そんな時は一時的に「気虚」や「気うつ」を起こしやすい。
気虚ないしは気うつの状態がが長引くと、気虚と気うつを合併しやすい。そうなってくると、初期の段階より病態は複雑で、改善までに要する時間がグッと長くなる。
重要なことは、いかに気虚・気うつを予防するか、ということ。そして、一時的に気虚や気うつが起こってしまったとしても、ひどく悪化する前に、生活習慣を改善して、症状の初期治療をすること、である。
気虚に関しては、自分の持ち前の「気の限度」を知ることが重要である。人と比べるのではなく、自分のカラダがこの生活に耐えられるかどうかを考える。
気虚の原因として、一般的なものでは、
睡眠不足(不規則な睡眠リズムも含む)
カラダの使いすぎ(休憩時間が少ない、など)
頭の使いすぎ(多くの仕事の掛け持ち、など)
移動距離が長い
1回の食事量が多すぎる
長風呂しすぎ(汗の出し過ぎ)
温度調整が上手くいかない(暑すぎたり寒すぎたり)などがある。
自分にとっての気虚を引き起こしている原因を見つけて、生活習慣を正すことができれば、症状は改善に向かうだろう。
万が一、それでも良くならない時は、以下の可能性が考えられる。
1.気虚が重症である→薬物治療も必要
2.気うつを合併している→気うつの治療も必要
3.基礎疾患がある→貧血・甲状腺疾患・悪性腫瘍などなど、、病院で相談することも大事。