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【いざ入場】

先日、上野の国立博物館へ行ってきた。


『興福寺1300年記念 国宝 阿修羅展』、ご覧になった方もさぞかし多いだろう。

6月7日までの展覧会ということもあって、入場券を買うのに30分、入場するまでに70分程かかった。


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やっとの思いで会場へ入っても、観ている時間は並んだ時間に及ばなかったが、並んででも観に行って良かった。



『阿修羅』像はダ・ヴィンチの『受胎告知』が展示されていた同じ場所で、こちらを向いて立っていた。






【解かれた封印】

現代の日本は心情的には無宗教である人が多い印象があるが、こうして阿修羅の足元に群がる人々を見ていると、やはり日本人の心の中にも信仰心というものは根付いているように思える。

そんな光景に、思わず感動してしまった。

阿修羅を眼前にしたとき、何かが目の奥から沸き上がってきた。


いくら仏像に興味があるからとはいえ、まさか目頭を熱くするとは...。

自分を惹き付ける仏像の魅力の正体、それは一体何なのか。
まだわからないでいる。

頭で考えてもわからないまま、涙腺が反応した。


阿修羅は近くで観るよりも、それを囲む群衆まで挑められるよう、少し離れた位置から全て見渡すのがいい。

単体では意外に思えるほどに華奢な像なのだが、それを取り囲む群衆をも含めて見られたことで、

"『阿修羅像』を見た"

と実感できたのだった。






【南の御告げ処】

阿修羅像に限らず、仏像に価値を与えるのはまさに人間の信仰心なのだと思う。


感動させてもらえたけれど、同時に「阿修羅像はこうして博物館でしみじみと眺めるより、興福寺にいるべきである」と直感的に思ったのも事実だ。



一刻も早く奈良へと戻り、人々の信仰の拠り所としての役割を未来永劫果たすべきなのだろう。



阿修羅の他にも様々な仏像が展示されていたが、
特に心を打たれたのは『薬上菩薩立像』、そして『薬王菩薩立像』だ。


「ネバーエンディング・ストーリー」という映画をご存知だろうか。

この映画の中で勇者アトレイユが通らなければならない場所『南の御告げ処(おつげしょ)』にいる2体の女神像を思い出した。


見るところ20メートルはあろうかという、巨大な向かい合った像の間を通らなければ、アトレイユはファンタージェンを虚無の襲撃から救う方法を知ることはできない。


だが勇敢だと言われてきた強者達が、次々と女神の発する死の眼光の前に倒れていった。


女神の前を通り過ぎる時、少しでも自信を無くしたり、自分を疑ったりすると、女神たちの閉じられた瞳は忽ち見開かれ、その視線に捕らえられた者は、生きてその先に進むことも、元来た道を戻ることもできないのだ。






女神像を見上げるアトレイユの気持ちが、少しだけわかった。

阿修羅に見下ろされ、またこちらからも見上げてみると、思わず後ずさりしてしまう。


まるで心の奥底まで見透かされるようだった。



『薬上菩薩立像』『薬王菩薩立像』の他にも阿修羅と共に奈良からやってきた仏像は、長い御勤めを終えてあと3日もすればまた奈良へと帰っていく。

脇役にしては存在感のあり過ぎる他の仏像も見ものだ。

この機会に上野まで足を運んでみては如何だろう。 


終わり。

(加筆修正 22th Sep 2020)