この一週間、実習と思いきや理論の講義だったというのが常だったが、今日は一切ノートを開かなかった。
予想に反して朝から鉛筆デッサンの実習だったのである。
この学校に入って初めて画(え)を描いた。
私の学校はいわゆる『専門学校』なので、美術に関して全く無知な者に対応したカリキュラムが組まれている。
そのためまずは基礎知識からだ。
鉛筆はなぜ六角形をしているのか、鉛筆に書かれたHやBやFや数字はどんな意味を持つのかなど、何となく知っていたことでも改めて学ぶと実に面白い。
そういえば六角形の鉛筆を正しく持つと、三本の指に平面が当たっているのがわかる。
20年以上も鉛筆を使っているが初めて気が付いた。
この六角形はきっと、メーカーの開発者たちの試行錯誤の賜物なのだろう。
そして美術の世界に身をおく者は機械や道具で鉛筆を削らない。
ナイフやカッターで削るのだ。
便利なものを使えばそれに慣れて指先が鈍ってしまう。
これは、いつも手先を敏感にしておくための画策でもあるのだ。
続く。

