私にはライバルがいます。
勝手に決めてるだけですけども。


北九州市にある、とある美容室。
会社に入社してすぐの5月
いきなりゴールデンウィークに取材に連行されました。

当時、アシスタントとして出逢った彼は、とても朗らかで優しくて
3つほど年下のはずでしたが、社会人1年目の私よりずっと
しっかりした考えと、熱い想いを持っていました。

取材2日目。
彼のいる店舗で誕生日サプライズが用意されていて。
営業終了後、電気がパチッと消えてハッピーバースデーの歌。
オメデトウの嵐の中登場したバースデーケーキ。


チョコプレートには、私の名前ものってました。


私は5月のゴールデンウィーク中が誕生日。
私との会話の中でそれを知った彼が、こっそり用意してくれてたんです。

当時の私はそこに感動するよりも
突然起こった出来事に対処しきれず
カメラが回ってる中、自分が画面に入り込んでも大丈夫なのか
そんなことばかり気にしておりましたが(笑)


そんな彼の当時の夢は
高齢者施設にボランティアとして赴くこと。
自分たちの仕事は、鋏1本で人を幸せにできるんだと
キラキラした目で語っていました。


数年後。
私は仕事で壁にぶち当たっていました。
そんな時、祖母が認知症となり、いずれ両親にも来る未来を考えて
いっそ新たなフィールドに移ろうかと思っていた矢先
再び彼らを取材することに。

私は現地には行きませんでしたが
完成した作品の中で彼の姿を見つけた時。
純粋に、負けた、と思いました。

彼は相変わらず輝いていて
出逢った頃より、もっとずっと優しい目をしていて。
数年前に語っていた夢は、既にスタイリストとなって叶えていました。


人を幸せにする手段は、たくさんあります。
どんな職業にも、それは必ずあると思う。
私がその時選ばなかったフィールドは、直球で人の幸せに関わる仕事。


それでも。
そちらを選ぶことは、逃げではないの?
私は、今の仕事に全力投球してるのかしら?
もっとたくさんの人を幸せにできるんんじゃないのかな?


先に行かれた悔しさと、自分の仕事を見つめ直して得た誇らしさと。
いろんな感情がごっちゃになって、こっそり泣きました。
会社で涙は見せたくないので、家に帰ってからですけど(笑)



それから更に数年。
今は迷い無く、仕事に取り組めていると思います。
まだまだ、足りないですけれども。


彼は、ずーっと先を歩いています。
むしろ、走ってます。
一生かかっても追いつけないかもしれないですけど。

彼の目を真っすぐ見ても、決してたじろがない自分になりたい。
負けられませんよ。

そしていつか。
あの日のサプライズのお礼参りをするのです(笑)



ありがとう。
今の私があるのは、あの日、あなたや皆に出逢えたおかげです。



ちなみに。
おろおろしながらケーキに近づく私の映像は
バッチリ本編で使われております(笑)
お客様から今でもからかわれますが
自分で見ても、まるで小学生のよう。
・・・もうあの時は23歳だったのになぁ。切ない。