「一汁一三菜」という言葉がある。 脚の付いた膳に米飯の主食としるもの一つ、おかずが3品。

日本料理の基本で、一説には室町時代に出来上がったとされる。飽食と多様化が進んだ現代では、死語

にちかくなった。

 日本料理をユネスコの世界無形文化遺産に登録するプロジェクトが進行中だ。旗振り役は農林水産省

検討会が10月末にも申請書を取りまとめる。とはいえ、何が日本料理なのか。 「すし、そばも含める

べきだ」 「他国にない『心が癒される』との要素を入れたい」・・・・。侃侃諤諤(かんかんがくがく

)の論議が続いたらしい。

 意向調査も行われた。「日本食の特徴は」との質問に最も多かった回答は「旬や季節感の重視」。納得

できる半面。現実には季節感が薄らぎ、輸入ものがあふれている。そうありたいとの願いが込められた

ようだ。 会席料理を中心に据えたいとする検討会の方針に対し、熊本市などであった地方説明会では「

郷土料理や家庭料理も強調すべきだ」との声が上がった。のっぺい汁や煮しめといった"おふくろの味〝

こそ、と考える人も少なくないのだろう。

 食の世界遺産にはフランスの美食術、地中海料理、メキシコの伝統料理が登録され、11月には韓国の

宮中料理が追加される見通し。農水省には福島の原発事故で揺らいだ日本の食の信頼回復につなげたい

との思惑がある。

 意向調査では、日本の食文化を世界に誇れると思っている人が99%を占めた。思い描く料理は星ほど

ありそうだか、食文化の崩壊が懸念される中、ホッとする結果ではある。