その日は、雨が降っていたので、お客さんが来なかった。
暇なので、コジャックさんが、カウンターのすぐ隣に座ってた。
僕が持って来たコミックを、カウンターで読んでいると
「・・・・・・いい匂いがするな」
「なに?」
「hiro君は、風呂に入って来たの?石鹸のいい匂いがする」
「・・・・・・そう。お酒を飲んでからじゃ、御風呂に入れないから」
すると、コジャックさんが少しずつ、ジャブを打って来たんだ。
「そうか。hiro君は、いつも風呂に入ってから、店に来るの?」
「・・・・・・・・・」 (風呂上りの顔と石鹸の匂いで誘ってる。とは絶対に云えない)
僕が黙っていると、コジャックさんは僕に顔を近付けて、クンクンと鼻で匂いをかぎだした。
「石鹸の匂いがする」
「・・・・・・・・・」 (コジャックさんは、僕が誘ってる事を面白がってる?)
「風呂上りと、酒に酔ったのと、顔が赤くなっちゃって・・・・・・可愛いね」
「マスター。どうしたの?」
「雨が降って、御客さんは来ないし。hiro君と御話しようと思ってさ」
そう云って、ニコニコと笑った。
コンチクショー~~! からかって遊んでるな~~!
と思ったので、僕も開き直って云ったんだ。
「あのさ、マスター。相談してもいいかな?」
「なんだい?お金の相談は駄目だよ?俺は、貧乏だからさ」
お金持ちの癖に、セコイ事を。 まあいいや、ちょっと吃驚させてやれ。
「あのさ、俺さ。友達と部屋で酒飲んでると、云われるの」
「何て?」
「ヤラセロとか、俺と寝ようとか」
「エッ! ホントに?」
「そう、二人で飲んでる時に・・・・・・・だからさ、俺も云ってやるんだ」
「何て?」
「おら、フェラチオしてやるからチンポ出せ。とか。よっしゃ、この布団で寝るか?とか云ってやるの」
「・・・・・・・・・」 (ホントに吃驚してた!やった!)
「するとさ、黙って下向いてんだけど。そんな覚悟がないなら、云わなきゃいいのにと思わない?」
すると、コジャックさんは真顔になって、云った。
「・・・・・そうだね。そんな覚悟が無かったら、云わない方がいいね」
よっしゃ~!勝った! と、この時は思ったんだ。
だけど、やっぱりコジャックさんの方が何枚も上手だった。