接骨院・整骨院や整形外科に行くと、患部を温められることがあります。

 

「温熱療法」と呼ばれ、循環を改善し、痛みを和らげるなどの効果があり、「表面加熱」と「深部加熱」に分類されます。

 

「表面加熱」には、「パラフィン浴」「ホットパック療法」「局所浴療法」などがあり、当院ではホットパック療法を採用しています。


もっとも管理が簡単で、副作用や事故を起こしにくいからです。

 

「パラフィン浴」とは、溶かして液体状になった蝋(ろう)の中に手や足などを何回も出し入れして蝋の層を作り、温めるものです。


「熱そう」と思われるかも知れませんが、より低温で溶けるように「流動パラフィン」というのを加えるので、それほど熱くはないです。


固まった蝋を外すとお肌がキレイになる効果もありまして、エステティックサロンで採用しているところもあるようです。


難点は、落ちてしまった蝋が床にこびりついて、とても汚くなってしまったり、滑って転んでしまう事故が発生しやすいことです。

 

「深部加熱」には「超短波療法」「極超短波療法」「超音波療法」などがあります。

 

「超音波療法」は、身体の最も深部を温めることが出来ると言われています。


スーパー銭湯などにも「超音波バス」がありますよね。


「ホントに超音波が出てるの?」「効果があるの?」と思われるかも知れませんが、あの気泡がはじける時に超音波が発生していますし、普通の湯船より温める効果がちゃんとあります。


ただし、その超音波がはじける時に肌の汚れをかなり落とすので、他人が入った後の超音波バスに入るのは少し勇気が必要かも知れませんね。

 

もう一つ、「極超短波療法」は、「マイクロ」などとも称されます。スイッチを入れると、ぼんやりと光ります。


この光が患部を温めるのかと思いきや、その光が出ている部分を触っても熱くありません。


でも、しっかり身体の深部まで温めてくれます。


その原理は電子レンジのようなもので、光が当たった部分の水分子を振動させて熱を発生させます。


身体の一部を電子レンジに入れているようなものだと思って下さい。


他の温熱療法も使用するには注意事項があるのですが、この極超短波療法はさらに注意が必要です。


まず金属には当てられない。


当院でも昔使っていましたが、ローラーベッドに乗った患者さんの腕に当てたことがあります。


「金属部分に直接当てなきゃ大丈夫だろう」と思ったら、ローラーベッドの基盤に悪影響があり、ローラーベッドが壊れてしまい、修理に7万円掛かってしまいました。


オーディオなどの電化製品も影響を受け、途端に雑音が生じてしまいます。


当然ペースメーカーや補聴器をつけている人や、眼球に向けては使えません。


また、成長期の子供の関節付近に当てると、成長障害を起こしてしまう危険性があるので、絶対禁忌です。


メリット以上にデメリットがあるように感じ、当院では「極超短波療法」をやめました。

 

「なぜその治療をしてどんな効果があり、どんなリスクがあるか」は、施術者が理解しているのはもちろん、患者さんとしても理解しておきたいですよね。