以下の書籍を購入し、読了したので、ここで

紹介したい。


書籍名:林陵平のサッカー観戦術

    試合がぐっと面白くなる極意

著者名:林陵平

発行所:株式会社平凡社

価格:¥1,000-(税別)

ISBN:978-4-582-86051-1



1.目次

    はじめに

 第1章 観戦がぐっと面白くなる心構え

 第2章 90分間で観るべきポイント

 第3章 各ポジションの役割と象徴する

      選手を知る

 第4章 各システムの特徴をきちんと

      押さえる

 第5章 現代サッカーの名将たち

 第6章 個人的に「推したい」選手と監督

 第7章 僕の“相棒“「サッカーノート」

 おわりに


2.本書籍の面白い点

①読みやすさ

 本書籍は新書サイズで200ページ前後と、

決して分厚い本ではない。しかも平易な言葉

で記載され、図や写真も多いため、サッカー

を知らない人でも簡単にしかも速く読めると

思われる。実際私も購入後1時間で読み切って

しまった。


②臨場感溢れる第2章

 第2章では試合で観るべきポイントが記載

されているが、時間帯別にポイントが解説さ

れている点が特徴である。

 私がサッカーを観るとき、両チームのフォ

ーメーションを開始15分で把握するよう努め

ているが、本書籍の著者ももっと短い時間

(開始10分)で把握することを勧めている。

しかもそれだけではなく、攻守のアグレッシ

ブさまで把握することを勧めており、そのた

めの具体的な視点を提供している。

 開始10分のほか、ハーフタイム、後半スタ

ート時、60分前後、試合後についても観るべ

きポイントが解説されている。このため、第

2章を読むと、あたかも試合をリアルタイム

で観戦している錯覚に陥り、試合の臨場感を

味わうことができる


③ライト層も意識した書きぶり

 これまでサッカー観戦に関する書籍は監督

コーチや分析担当者、あるいは試合を専門的

観点から観戦する者など、いわゆる「玄人」

向けのものが多かったが、本書籍は普段サッ

カーを観ることが少ないいわゆる「ライト層」

も意識した内容となっており、同層へのメッ

セージが各章に散りばめられている。

 いくつか例を挙げると、第1章では「推し

チーム」の試合を「週1」で観続けること、

第2章では推しチームの結果に感情的になら

ず、「冷静かつ客観的な目でも見てほしい」、

第7章では「推しチーム用のノートを作ろう」

などなどである。「ライト層」がこうしたメ

ッセージを取り入れていけば、サッカーの面

白さがさらに増すであろうし、選手をリスペ

クトする姿勢も身についてくると思われる。


④海外サッカーファンにも充実した内容

 本書籍の著者はプレミアリーグやラ・リー

ガ、ブンデスリーガ、セリエAなどの4大リー

グを初めとした海外サッカー中継・配信の解

説を務めているが、本書籍は海外サッカー

ファンにとっても楽しめる内容になっている。

 まず第5章では、マンチェスター・シティ

監督のジョセップ・グアルディオラやリヴァ

プール監督のユルゲン・クロップを初めとし

た世界の名将たちが紹介され、それぞれの戦

術の特徴などが紹介されている。このため、

各監督の戦術の知識を整理したい場合、本書

籍は有用と思われる。

 また第3章では各ポジションの役割を解説

するに当たり、それぞれのポジションの代表

的な選手についても解説しており、プレーの

特徴が簡潔に述べられている。CFであれば、

アーリング・ハーランド、WGであれば、モハ メド・サラー、攻撃的MFであれば、ケヴィン

・デ・ブライネという具合である。しかも多

数の選手が紹介されており、海外サッカー

ファンであれば、満足のいくのではないかと

思われる。特にマンチェスター・シティやリ

ヴァプールの選手については、以下の通り、

チームが出来てしまうほどの数の選手が紹介 されている。両チームのファンには是非とも

本書籍をご覧いただきたい。


(マンチェスター・シティ)

1)アーリング・ハーランド

2)ジェレミー・ドク

3)ジャック・グリーリッシュ

4)ケヴィン・デ・ブライネ

5)ベルナルド・シウバ

6)フィル・フォーデン

7)ロドリ

8)ルベン・ディアス

9)ジョン・ストーンズ

10)カイル・ウォーカー

11)ヨシュコ・グヴァルディオール

12)エデルソン


(リヴァプール)

1)モハメド・サラー

2)フィルジル・ファン・ダイク

3)イブライナ・コナテ

4)トレント・アレクサンダー=アーノルド

5)アリソン・ベッカー


⑤スカウティング分析にも有用

 本書籍は他のサッカー観戦本と同様、スカ ウティング分析にも有用である。スカウティ ングとは対戦相手や自チームを分析すること

で、今ではどのチームにも、プロ、アマを問

わず浸透している。

 第2章では観戦のポイントを知ることで

チームの特徴、攻撃、ネガティブ・トランジ ション、守備、ポジティブ・トランジション

の4局面の状況の把握、スタッツの分析の視

点例、チームとしての狙いの把握方法を知る

ことができる。

 第3章では、ジョセップ・グアルディオラに

より言語化された5レーン理論、2021-22年シ

ーズンのマンチェスター・シティや2022-23

年シーズンのリヴァプールが採用した偽SBの

功罪が解説され、最先端の戦術を理解できる。

 第7章では、本書籍の著者によるサッカー

ノートの記載方法が紹介され、分析結果の整

理に有用である。

 前述の通り、本書籍は短時間で読むことが

できるので、チームでスカウティング分析を

担当することになり、悩んでいる方には是非

ともご一読を勧めたい。