三浦祐之著<口語訳:古事記>

◎先日、知人からのメールで、「高千穂の峰に 登った」と聞き、「お 天孫降臨だ」と思った。別名を“霧島山”というらしい。ネットにいくつかの写真が載っているが、1500M少しの山、火口があり、草木が少なく、姿はなかなかに魅力的な山だ。「うちが 天孫降臨の 場所だ」というのが二か所あり、高千穂の峰は鹿児島県と宮崎県の境にある。三浦先生:「かつての 島津藩が うっとこの 高千穂の峰が 天孫降臨の地だと ごり押ししたらしい」もう一箇所は宮崎県の北部の“高千穂峡”だそうだ。

 

◎さて、タケミカヅチの返り言を聞いたアマテラスとタカギの神とのおふたりは、あらためて日嗣の御子マサカツアカツカチハヤヒアメノオシホミミに向こうて、

 「今、 ようやく蘆原の中つ国を和らげ終えたとの知らせがあった。そこで、先に言葉を寄せてゆだねたとおりに、中つ国に降りいまして、統(す)べ治めなされ」と言葉を寄せられた。

 するとその日継ぎの御子オシホミミは、

 「私が降りようとして装いを整えている間に、子が産まれてしまいました。名は、アメニキシクニニキシアマツヒコヒコホノニニギと申します。この子を降ろすのがよろしいかと思います」と答えた。

 

 そこで、申し出のままに、アマテラスはヒコホノニニギに言葉をかけて、

 「この豊葦原の瑞穂の国は、なんじが統べ治める国であると、父オシホミミの言葉と共に委ねられた。さあ、あらためて、わが言の葉のままに降り行きなさい」と仰せになった。

 

◎ニニギ:邇邇芸命(ににぎのみこと:にぎにぎしい:にぎやか)志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命

アマテラスの孫。男神。

アメニキシ(天を和らげ)クニニキシ(国を和らげ)アマツヒコ(天空の日の御子)ヒコホノニニギ

◎当初はアマテラスの息子、オシホミミが降臨することになっていたが、葦原中つ国が平定される間にアマテラスの孫が生まれ、そのニニギを降ろして葦原中つ国を統治させることになった。

◎国土を生んだのはイザナミ・イザナミだった。国土を整備して作り上げたのは、オオクニヌシだった。

なぜ、降臨が、子から孫に交替したのか。なぜ、国譲りは出雲なのに、降臨の地は九州なのか、諸説あり。

 

◎そうして、ヒコホノニニギは、天降(あも)りしようとした、そのとき、下を眺めると、その道中の天の八つ辻に、上は高天の原を照らし輝かし、下は葦原の中つ国を光り輝かし、見知らぬ神が待ち受けておった。それで、アマテラスとタカギの神とのお言葉で、アメノウズメに仰せになることは、

 「汝は、か弱い女の神ではあるが、向かい合うと面で勝つ神である。ゆえにひとまず、なんじ先立ち行きて尋ねることには、我が御子の天降りしようとする道を、誰が遮るごとく居るのか、と問うてまいれ」

◎アマテラスとタカギが、アマテラスの孫、ニニギを降臨させようとする。二代目のオシホミミもニニギも、だらしないお坊ちゃん、うしろ盾の神々がうしろにいないと何もできない。

◎アメノウズメ:アマテラスが天の岩戸に隠れてしまった時、活躍した女神。<足踏みして音を響かせながら神懸かりして、ふたつの乳房を掻きい出して、解いた裳の緒を、秀処(ほと)のあたりまで押したらした。

 このように裸体をさらして、妖艶な踊りで神々を魅了した、そんな色っぽい反面、<向かい合うと面で勝つ神である>にらめっこして絶対負けない神、得体のしれないサルタビコの妖気をはね返してしまう、そんな力を顔面に持つ女神でもあった。

◎胆力、アメノウズメは、妖艶の半面胆力の神でもあった。

◎「ああ うらやましい 胆力の無いオレ 気の弱いオレ なり」