◎真っ暗の中、石榑峠にやって来た、いしぐれと読む。山に行きたい、鈴鹿山系の竜ヶ岳に登りたい、駐車場が狭そうだ、なんてことを考え夜の6時半に茨木を出発した。八日市ICから永源寺を経て石榑トンネル手前を左折する、とわかっていたが、アッと思った瞬間には目の前がトンネルで、長いトンネルを抜けUターンしてトンネル入り口まで戻り、細いぐにゃぐにゃ道を登りきったところが峠だった。峠の手前から風が吹き出し、霧が横切り、アップしたライトにギラギラ光る。狭い駐車場にはすでに2台止まっている、気を付けて駐車して、持参した乾き物でビールをグビリ、寒いので、美味い、という言葉が出ない。防寒具を持っていたのでそれを着こんでシラフに潜り込んだ。

◎7:30バイオのきれいなトイレの横が登山口だ。昨夜はこの車では初の車中泊、ぐっすり寝て7時頃に目覚めた。早速パンを齧りながら服装を調えた。昨夜は車が揺れるほどの風、それがまだ残っている、吹いている、防寒具を着たままザックを背負った。石榑峠は標高700ぐらいだが、この季節にしては寒い。

◎30分ほど登った、「眺望がいい」ここは石と砂利の山、樹が少なく、遮るものがない、見渡せる、下の方に伊勢湾と田んぼと街が見える。水を張った水田の横になん枚か褐色の土地がある、あれはおそらく麦が収穫を待っているのだろう。白い雲の混じった青空の下、ビュービュー風が吹く。

◎石榑峠から竜ヶ岳まで1時間半のコースタイムだ。1時間ほど来たところで尾根道に出た。「おおお 景色がいい いいねええ まる見えだ」1000メートルぐらいの標高だけれど樹のない山は見晴らしがよく素晴らしい。

◎竜ヶ岳の頂上は大きなボールのようなぽっこり大地、ヒョロヒョロと数本の木があるけれど、草の大地だ。休日なので20人30人の人がいるが、広々しているので混みあっていない。あいかわらずビュンビュンの風、風速20~25ぐらいかな、ふっ飛ばされはしないが、けっこうな吹きぶりだ。

◎グンと下がって、静ヶ岳方面に向かった。左に曲がるという看板の少し先に小屋がある。「ちょっと見ておこう 避難小屋なら いずれ お世話になるやも」と100メートルほど進んでみると、扉に鍵がかかっている。管理棟なのか、避難小屋としては使っていないようだ。引き返しさきほどのT字路を曲がった。

◎竜ヶ岳から静ヶ岳まで1時間ちょっとのコースタイム、今までたくさん人がいたが、このコースは人気度が低いのか人がいない。先ほどまでの風もピタリとやんでいる、風はあのあたりだけのモノなのかな。「お 池だ」高島トレイルの駒が池ぐらいの大きさの池がある、「あ もうひとつある 双子池か」と池の横を歩いて進んだ。帰るときに尾根の反対側にも池が2.3個あった。こんなに池が多いのも不思議な光景だ。池の水は澱んだ感が強い、これは飲めないね、煮沸でもすれば飲めるかもしれないが、喉が渇いて死にそうだとかでないと手が出ない汚さである。この1時間の行程は樹林帯の中、竜ヶ岳に樹がないのが不思議だ。

◎静ヶ岳直下で人の声、「お 犬」「甲斐犬です」二人の若い女性が3匹の犬を連れて降りてきた。一匹は黒、二匹は茶系統の縞模様、オレはじっと犬を見つめた、「いいなあ 元氣そうだ」彼らもオレの顔を見て過ぎ去っていった。そういや、若い女性の顔は見ていないね、いやいや、人より犬だ、犬がいいよ。もうすぐ下山という時も、おっさんが連れた少し大きい柴犬がいた、これもいい。

◎10:40:静ヶ岳1088に到着、おにぎりを3個喰った、コンビニものだが美味いねえ。目の前に樹の無い竜ヶ岳がまる見えである。竜ヶ岳の手前で道が不通になって、下の方に大きく迂回道があった。遠く、こちらから見ると、竜ヶ岳のてっぺん近くがえぐれている。「先の台風で崩れた」と書いてあったが、相当大規模に崩れたようで、迂回路も長かった。帰るとき、崩れた方を見やると、大量の土砂崩れが生々しい。

◎12時に竜ヶ岳に戻ってきた。なんとまだ風は吹いている、多少弱まったかもしれないが、まだまだビュンビュンである。静ヶ岳で知り合ったあんちゃんが、「高気圧が張りだすと 風がきつい」とおぬかしたが、天気図の読めないオレにはちんぷんかんぷんなり。

◎1:30:下山。6時間の山行でした、しんどいところ、危険なところもなく、筋肉痛にはならない山でした。白っぽい石と砂利の山、下りはよく滑った。

◎この車で初の車中泊、あれをこうすりゃもっと快適かななんて思案中。