◎「明神ブルーが見たい」と先日来うずうずしていた。晴れて穏やかな日に行きたい、吹雪の雪山はもう願い下げだ、と調べていた。何日か前から13日がいいと予報士が言う。皆さんをお誘いしたがダメなので、ソロ登山になってしまった。5時頃に家を出ると、奈良の葛城あたりで6時、まだまだ夜の雰囲気だ。

◎通行止めの看板のある臨時駐車場に7時到着なれど、もう5台ほど車が止まっていた。いつもの駐車場より6キロ手前らしい。歩いてわかったことだが、土砂崩れは奥の駐車場の対岸である。以前にも崩れ、コンクリートを組んだ養生がされているが、その底の土砂が崩れ、コンクリートが浮いた状態なのかな。奈良は先日の前鬼のあたりといい、土砂崩れ、崖崩れが多いねえ。

◎8時過ぎいよいよ登山口。昔は、駆け足で登れるような山、なんてえらそうなことを言っていたが、渡渉が4回もある川筋、歳をとると共に苦手になっていく。以前のようにホイホイと岩の上を飛べなくなった。太陽が樹々の間からキラリ見える、いいねえ、期待通りの晴天になってくれ。とはいえこのあたりは北向きの斜面、水溜まりは凍結している、雪も残っている、川に滑り落ちないよう注意である。

◎10時頃、渡渉が終わったあたりで、六本爪のアイゼンを着けた。先日来何度もつけているのに時間がかかってしまった、冷たさで手が痛いほど冷えてくる。若いころは、「ずぼ足で歩くんだ ぎりぎりまで着けないよ」なんて粋がっていたが、ジジイになると平らな場所で、穏やかなうちにさっさと着けたほうがいいと反省。

◎渡渉が終わるとジグザグの登山道、コラショドッコイショとどんどん稼げる、ポケットの中のスマホ君が、「高度900M」「高度1000M」と何度も教えてくれる。1000Mと言えば比良山系なら一番高いところに近いが、奈良の山は滋賀に比べ500Mほど高い山が多い。たっぷり雪が残っている、北斜面なのでまだまだ寒い。今日は風がないので、フードなしの防寒具だけで登っている、毛糸の帽子だけ、冬用手袋は着けている。

◎11時にてっぺんに到着。手前に水場がある、水が流れているところがある。てっぺんの東屋からすぐそこが水場だと思っていたが、最近になって、「え すぐそこじゃないじゃない」と驚かされている。10年前20年前と距離の感覚、体力なのか、気力なのか、空気なのか、水場が過ぎてもまだてっぺんに着かない、なんて、どっこいしょだ。

◎ちょっと早いが飯にしよう、朝は5時頃に喰ったからね、もちろん途中歩きながら、パンを、チョコを、干し葡萄をパクパク食べていた。少し下で一本取った時も、饅頭を喰おうと思いとどまった。まもなくてっぺん、今、饅頭を喰うと飯がまずくなるとがまんした。「さ まずは ヌードルに湯だ 湯が先だ」「あれれ・・」「まさか・・」ヌードルが入っていないじゃないか かんじんのヌードルが・・」ヌードルとおにぎりと決めていた。ほんとうに大失態、ばかだねえ。冬になって、この組み合わせがいいと、我ながらいい組み合わせだと、悦にいっていたが、まともに成功したのは一回だけ。テルモスのパッキンをし忘れ電車の中で湯をこぼしてしまったこと。前の日からテルモスを用意していたのに、かんじんの湯を持ってくるのを忘れたこと。

◎おにぎりを食べ、饅頭を食べ、湯を飲んで、物足りない昼食を済ませた。それでも気色は素晴らしい、一面の銀世界、もう1時間早ければ樹々にも雪がたっぷりついていたはず、青い空、白い地面、霧氷の景色、ほほほ、最高である。

◎明神ブルーなんて言葉は知らなかった。山記録のネットで若者は流行らせた言葉なのか、それでもそのブルーが見てみたかった。今日はまさにそのブルー、明神ブルーだ。どんな青ですかと絵かきのオレに問われても、「深い宇宙の青かな」なんてわかったような答えしか出てこない。絵の具では青色は全部で4.5色は絵の具箱に入っているが、そんな絵の具じゃ、宇宙の色は出せないね。

◎陽が照っている、じりじりするねと言うほどに直射日光が顔にあたる。サングラスを忘れないようにと昨日は思っていたがこれも入れ忘れた。樹々の枝々にたっぷりついている雪の塊が、ぼたリボタリと落ちていく、この暑さ、今日の午後には相当雪が溶けそうである。帰り道、もう登山道の終点と言うところで、ズルリすってん。下りの林道で、凍っているな、水が流れているところを歩こう、ここでおもいきりのスッテンころり、腰骨ごとたたきつけられた、イテテである。3時に車を発車、6時に帰宅した。帰途ソーメン屋の桝井君表敬訪問、元気に仕事をしていた。