僕はスマホを2台持っている。
仕事用と個人用。

個人スマホに連絡してくるのは、妻か両親くらい。

両親は、僕への用事でもまず姉に話し、姉が僕に伝えてくるから、両親から僕に直接連絡がくる事はめったにない。

個人スマホを持ったはいいが必要ないと悟り、解約しようかと考え始めた頃、妻と親しくなり、個人的に連絡を取り合うようになって、個人スマホが初めて大活躍した。

そんな個人スマホも、妻と暮らし始めて、スマホで連絡取り合う事も激減し、また稼働率が低下していたのたが、あの事故以来、改めて気を引き締めた。

個人スマホは常に携帯し、ズボンのポケットに入れて振動に気付くようにしている。

ただ、人は平和ボケするのか、すぐ油断する。
よほどの急ぎか緊急事態時にしか稼働しない個人スマホの存在はつい忘れがちになる。


その個人スマホが、昨日久々に振動した。

昨日、妻は休みだった。歩いて出掛けていったのはチラッと見えた。また何かあったか。ドキッとした。

急いで休憩室に行き、スマホを確認する。
メールだった。


『連れて帰っていいですか?』


ん?

犬か、猫か。
いや、猫はないだろ。うちには犬がいる。
でも妻にベッタリな犬だから、他の犬を連れてきたら嫉妬で大変な事になる。


添付されてる写真を確認する。


…妻ちゃん。
そんな事で連絡してこないでください。
何事かと思ってドキッとしたんだから。
心臓に悪い。


妻にお持ち帰りされたのは、おっさんだった。


トリス、久しぶりだな。