第416回さいたま三愛病院糾弾ブログ/番外編・呉越春秋には「嘗胆」ばかりでなく「嘗糞」があるのを指摘したついでに『荘子』に「舐痔」があることを思い出した巻

10年くらい前でしょうか(埼玉大学図書館に寄らせて貰うようになってから)、ちょくちょく商務印書館の(あの濃い紺色の)「索引シリーズ」を使わせて貰うようになったのですが(※いまネット検索で埼大図書館の所蔵をチェックしたら、北京だけでなく台湾の商務印書館のもあって其の関係も全く知らないのですが)、最も驚いたことは、(原文には無い)引用符のカギ括弧(「、」)や疑問符(?)が堂々と付いていたことでした(※しかしナニシロ中国語が分からないのですから先ず「発音」を知らねば索引もひきようがなくてナカナカ苦労で=日本語なら読めなくても適当に推測して大体当たるのですが中国語では日本語の「音(オン)」は知っていても推測のしようがないのです)。そして5年、いや3年くらい前からでしょうか、インターネットを使うようになってから、(此の数日中に教わったのもそうですが)大変便利なサイトがあることを教えられて、えらく得をした気分を味わっています。また(今年になってからでしょうか)、ネットで古典籍等の「原文」を(タダで)(時間に束縛されずに)読めるのですからウハウハ気分でもあります(※たしか今年になってからのことだと思いますが、『寛政重修諸家譜』が国会図書館でインターネット公開の「初日」に行ったことを思い出します=其の日の弊ブログで報告済の筈)。日本の古典の索引でも、商務印書館の索引のように、いずれ、引用符のカギ括弧や疑問符が(堂々と)付くのだろうと思っていますがサテ・・・。

テナ訳で、今日の「舐痔」です。「中國哲學書電子化計劃」サイトで(「道家」をクリックして「車五乗」の「車五」の2字だけで)ググルと、即、『荘子』の雑篇「列御寇第三十二」のくだりが表示されます。それを以下にコピペしておきます。-Q始ー
宋人有曹商者,為宋王使秦。其往也,得車數乘;王說之,益車百乘。反於宋,見莊子曰:「夫處窮閭阨巷,困窘織屨,槁項黃馘者,商之所短也;一悟萬乘之主,而從車百乘者,商之所長也。」莊子曰:「秦王有病召醫,破癰潰痤者得車一乘,舐痔者得車五乘,所治愈下,得車愈多。子豈治其痔邪?何得車之多也?子行矣!」ーQ終ー

ついでに、岩波文庫の金谷治の読み下し文を以下に文字起こししておきます。ーQ始ー
宋人に曹商なる者有り。宋王の為に秦に使いす。其の往くや、車數(数)乘(乗)を得たり。〔秦〕王これを說(悦)び、車百乘を益(ま)す。宋に反(かえ)り、莊子に見(あ)いて曰わく、夫(そ)れ窮閭阨巷に処(お)り、困窘(こんきん)して屨(くつ)を織り,槁項黃馘なるは、商の短なる所なり。一たび萬(万)乘の主を悟(さと)して、從車百乘なるは、商の長ずる所なりと。莊子曰わく、秦王病いありて醫(医)を召す。癰を破り痤を潰(つぶ)す者は、車一乘を得、痔を舐むる者は、車五乘を得。治(おさ)むる所愈ゝ(いよいよ)下りて、車を得ること愈ゝ多し。子、豈(あ)に其の痔を治むるか。何ぞ得を得ることの多きや。子よ行けと。(※岩波文庫『荘子』第四冊179頁)ーQ終ー

「車五乗」の3文字ではなく「車五」の2文字でググッタのは、「乗」が旧字「乘」と違うので、面倒だから、2文字で検索してみたのです。3文字では検索していませんので、結果が違うかどうかはためしていません。ただね、『塵劫記』のネット検索でも触れましたが、正漢字と略字体とでは検索結果に違いが出る場合があって、(それがどういう仕組みで別けられているのか分からないのでIT未熟者は困っていて)そうだ、其の『塵劫記』書名の典拠の「読まずにする大胆予想」についても、2件の「候補」を挙げただけで尻切れトンボになっていますが(たしかもう1件だけ追加して「主要候補3件」に絞りたいと思いつつ其の儘放ってあるのですが)、時間をみて、其の補足も「年末年始休暇」のあいだにでもすることにします。ああそうだ、今日の画像は(文字起こしした岩波文庫ではなく)遠藤哲夫・市川安司著の明治書院「新釈漢文大系」本790~791頁です(※なお時間があったので「車五乗」でググッた結果 にリンクを貼っておきますが、案の定、「ヒット0」でした=恐らく「乗」ではインターネットは「乘」と同字とはとってくれないのでしょう)(※※私は手書きの場合、今でも「正漢字」で書くので9画の「乗」でなく10画の「乘」と書きます)。也

平成25年12月28日00時10分

さいたま三愛病院を糾弾する
コードネーム0213231
(追うに意味ありto三愛)