第406回さいたま三愛病院糾弾ブログ/番外編・高島先生、孔子を「くじと言うのが普通」と断定されても困るぞなもしゾクゾクの巻 ー「叱るquizシリーズ12・高島俊男編」其の5

このところ、高島俊男氏の『お言葉ですが・・・3』所収の「臥薪嘗胆」を問題にして来ましたが、今日は文庫版273頁からの「なぜヨウダイなの?」の項に孔子の読みについて書いてあったので、それを文字起こししてオヒラキです。

ー(以下「なぜヨウダイなの?」引用)。
呉音のままのこった大物は孔子である。これは江戸時代まで孔子(くじ)と言うのがふつうのことであった。「孔子の倒れ」ということわざがある。孔子のようなえらい人でもころぶことがある、ということである。これは源氏物語に、「恋の山にはくしのたふれ」、孔子さまでも恋にはこけます、と見える古いことわざだから、「孔子(くじ)の倒れ」でないとぐあいがわるい。/平家物語には、「孔子(くじ)顔回は支那震旦に出でて忠孝の道を始め給ふ」とある。/
徒然草に「才(ざえ)ありとて頼むべからず、孔子も時にあはず」とあるのも孔子(くじ)だろう。でないと「才ありとて」とおりあわないし、口調もよくない。/
源氏物語の例でもわかるように、昔の本にはしばしば「孔子」と漢字で書かず、「くし」とか「くじ」とかかなで書くから、うかうかすると気づかぬままに通りすぎてしまう。/
かと思うと、普通名詞のくじ、つまり「宝くじ」とか「あみだくじ」のあのくじですね、これをわざわざ漢字で「孔子」と書く。「孔子を取る」というから孔子を取ってどうするんだろうと思ったら、これがくじをひくことだったりします。/
孔子は明治以後「孔子」一本槍になった。しかし孔子関係がいっせいに右へならえしたわけではない。/
ー(以上「なぜヨウダイなの?」引用終り)。

以前私は、ヤフー知恵袋に、日本で古くから「読み慣わし」をされてきた「読みくせ」についていろいろ聞いたことがあります。いま覚えているので一番不思議なのは、「礼儀(れいぎ)」というのに其の本の名が「礼記(らいき)というのはどう考えても納得出来ない話で、しかしまあ、そう読み慣わして来たのですから、其の儘受取るしかないのでしょう。サテ今日の「孔子」様のことですが、弊欄の過去ブログでも何点か画像添付をした筈ですが、探し出すのも面倒なので今はお許し下さい。上記の如く高島氏は「江戸時代まで孔子(くじ)と言うのがふつうのことであった」と云っていますが、そんなに簡単にそういい得るのかどうか、私は軽々にはいえないことだと思っています。例えば、『太平記』を画像1・2として添付しておきますが、此処では「こうし」と読んでいます。そしていろいろな各古辞書にどうあったか、(最初私は)論語・孔子・曰くをどう読んで来たかを辞書でチェックしようと思ったのですがこれがナカナカ面倒で、論語と孔子は辞書としてはずせない必須項目の筈なのに全ての辞書に載っている訳ではなくてガッカリして、それ以上調べる気持ちがなえたことがありました。高島氏の云うように「江戸時代まで孔子(くじ)と言うのがふつうのことであった」という発言には、(此の数日氏を叱っていますが)またまた氏に、「疑問符」を付けたい思いにさせられています。源氏の「くしのたふれ」は(埼大の図書館書庫で)久し振りに影印本でたしかめて画像にも取り込んだ筈ですのにどこにあるか見付かりませんでした(従って今日は画像添付は出来ません)。源氏物語にも(7月2日の下書きに)リンクが貼ってありましたので、京都大学図書館の『源氏物語』v.22の「胡蝶」,pp.026-027 に「孔子のたふれ」(左頁5行目=画像)がありますので原文を見て下さい。

いま(画像メモを見て)今年7月の下書きを見たら、『太平記』にリンクを貼ってあるのがあって(いまでは何にリンクを貼ったか覚えていませんが)『太平記』巻第八(「是ハ孔子ノ言葉ニ」=古典文学大系本268頁13行目、早稲田古典籍DB第90コマ 左頁8行目)にリンクを貼ってあります。其のリンク先と画像1の『太平記』の「こうし」の読みと同じかどうかも分かりませんが、高島氏の「断定」を読んで、そんなに簡単に決め付けていいのだろうかと思ったものですから、一応其のことを書いてリンク貼りを其の儘おもてに出しておきます。此の当時、リンク貼りと下書きメモを同時に記入して保存しておいたのです(※役に立ったかどうかはあとで考えさせて下さい)。

なお今日の副タイトルの「困るぞなもしゾクゾク」は、ムロン、半藤一利氏の『漱石先生ぞな、もし』の(無断)パクリで、此の本は「続」が出ていますので、不遜ながら「続々」のつもりで、副タイトルに「困るぞなもしゾクゾク」とさせて頂いた次第です。東京堂出版の『現代擬音語擬態語用法辞典』から「ぞくぞく(っ)」の項目をオマケ画像7として今日の画像の最後に添付しておきます(「ぞくぞく(っ)」の震えの原因として此の辞典では「1・悪寒、2・寒さ、3・恐怖、4・不快、5・期待、6・興味/快感」を挙げていますが、私自身としてはどれだか今日は判断が出来ない状態です)。なお画像メモで目についた(「孔子の倒れ」関係の)数点を、画像3~6(孔子仆は国宝『世俗諺文』)として添付して今日はオヤスミナサイを。也

平成25年12月18日00時10分

さいたま三愛病院を糾弾する
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(追うに意味ありto三愛)