一言で言うと、物流業界の”闇”を描いた作品です。満島ひかりと岡田将生が主演とあって、それなりに見られる映画かなと思って、観てきました。
あらすじ(映画HPより)
11 月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。
巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。
誰が、何のために爆弾を仕掛けたのか?
残りの爆弾は幾つで、今どこにあるのか?
決して止めることのできない現代社会の生命線 ―世界に張り巡らされたこの血管を止めずに、いかにして、連続爆破を止めることができるのか?
すべての謎が解き明かされるとき、この世界の隠された姿が浮かび上がる。
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ショッピングサイトをクリックするだけで、翌日には(早ければ当日に)注文する商品が手元に届くーそんな社会に慣れてしまった我々は、その過程でどんなことが行われているか想像することはあまりないでしょう。
巨大な物流倉庫で、注文の入った商品を休むこともなく流れ作業でピックアップして梱包する人間やロボットの風景。送り込まれた商品を配送するために、効率よく仕分けをして配達業者に渡す配送センターの様子。荷物一個当たりわずかな歩合給で、顧客までの配達(=ラストマイル、正確には Last One Mile)を担う宅配ドライバーの姿。
モデルとなる物流倉庫は間違いなくAmazon だと思いますが、映像に映し出されるブラックとオレンジの色使いの倉庫は見覚えあるな?と思っていたらーちゃんとエンディングロールに「トラスコ中山」の名前がありました。関東の2ヶ所の物流センターがロケ地として使われたそうです。(←トラスコ中山のHPより)
しっかりと作り込まれた脚本がすばらしい。爆弾を仕込まれた段ボール箱の追跡と同時に、犯人を特定する過程で、二転三転するプロットは、社会派サスペンスとしての展開がなかなか面白かった。伏線回収もキッチリ行われていて、ストレスを感じる事はほとんどありませんでした。これはちょっとあり得ないな?という場面が少しあったのが残念。
この映画のプロデューサーと監督・脚本家は、共にTVドラマ「MIU404」と「アンナチュラル」でタッグを組んだ女性同士だそうです。その関係で両方のドラマの出演者が、この映画でも同じ配役で登場しています。(主題歌も全て米津玄師というこだわりよう。「シェアード・ユニバース」という手法だそうです)
その出演者が主役級ばかりですごい!ドラマのファンは堪らないでしょうね。(ちなみに私はどちらも観ていません)
「MIU404」
綾野剛、星野源、橋本じゅん、麻生久美子など
「アンナチュラル」
石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、薬師丸ひろ子、松重豊など
満島ひかりや岡田将生の演技も、配役の陽と陰、動と静の対比がはっきりしていて良かったです。2人ともこういう役をやらせると個性が際立ってきますね。その他の配役では、個人的に阿部サダヲと火野正平がハマリ役で面白かった。
たとえ死者(自殺者)が出ても、収益のためには1秒たりとも止められない倉庫のコンベアーライン。爆発物が入っているかもしれないと言って、全部の配送を止めればクレームが入るのは分かりきっているので止められない配送センター。人命がかかっているため、どんなことがあっても遅延は許されない医薬品の配送など。物流業界の上流から下流までの細かい事情がよく描かれています。
少し想像を働かせれば、一つの荷物の配送に膨大な手間がかかっているのはわかるはずですが、あえてそのシステムの恩恵と弊害に目を瞑っている現代人への警鐘にもなる作品です。
