あの本屋大賞を受賞した宮島未奈さんの小説「成瀬は天下を取りにいく」の続編です。人気作とあって、市内の図書館で申し込んで半年待ちで、やっと読むことができました。
前作と同じように、短編で構成されています。ただ、前作が主人公成瀬あかりを中心としたストーリーであったのに対し、今回はちょっと視点を変えて、まわりの人たちから見た成瀬を描いています。前作を読んでいなくても楽しめますが、読んでいるとすんなりとストーリーに馴染めます。
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◯「ときめきっ子タイム」
表題は大津市のときめき小学校で行われている総合学習時間のこと。そこに通う小学四年生たちが、「ゼゼカラ」のコンビで有名になった成瀬をテーマに選んで調べることに。
(*「ゼゼカラ」誕生の詳しい経緯は前作で)
調べるうちに、成瀬が自分たちの小学校の卒業生とわかり、インタビューをしたものをまとめて発表します。
(その過程で、高校三年生の成瀬は京大を受験し、島崎は東京の大学を受験することがわかる)
◯「成瀬慶彦の憂鬱」
成瀬あかりの父親慶彦は、京大を受験する娘の動向が気になって仕方がない様子。この短編では、あかりの生まれた時から高校生に至るまでのエピソードがいくつか紹介されます。
京大受験に向かったあかりと付き添いした慶彦は、大学のキャンパスでテントを張って宿泊代を浮かそうとするYouTuberの受験生を家に泊めることに。年頃の娘を見る父親の目線でストーリーが展開します。
◯「やめたいクレーマー」
京大生になった成瀬がバイトするスーパーで、「お客様の声」に気がついたことをよく書き込む既婚女性が、成瀬の依頼で万引き犯の発見と逮捕に貢献するストーリー。
◯「コンビーフはうまい」
「びわこ大津観光大使」に応募して選ばれた成瀬と、三代続けて観光大使になった同期の女性とのやりとり。ここでも成瀬の個性が爆発。二人で「観光大使-1」という全国大会を目指すことになるが.....。
題名は大学生になって初めてスマホを持った成瀬が、自宅の電話番号の語呂合わせに使ったフレーズ。彼女がインスタのやり方を教えてもらって、投稿する姿が今どきで微笑ましい。
◯「探さないでください」
東京の大学に行った「ゼゼカラ」の相棒島崎みゆきが帰省して、成瀬の住むマンションにいくと、「探さないでください」という書き置きとスマホを残して成瀬が家出?していた。
前4作で取り上げられた人たちが全員登場して(巻き込んで?)、成瀬の行き先を捜索するが、彼女の行った先は.....!
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話題作の続編というと、どうしてもパワーダウンしてしまうのは否めません。しかし、この小説の魅力は、何といっても主人公成瀬あかりのキャラクターに尽きますね。何を考えているか、何をしようとしているか、周りの状況にに左右されず我が道を行くけれど、いつの間にか周りの人たちも巻き込まれて、次第に成瀬に好感を抱いてしまう。まさに自分の信じた道を行く姿が描かれています。
この小説を映画化する話が持ち上がっているようですが、成瀬役を誰がやるのか?気になるところです。(私も含めて)読者それぞれにイメージしている姿があると思うので、安易な映画化はどうかなとちょっと心配です。
