怠惰少年期


cf.4月半ば



高校に入ってから、コロッケパンを食べる機会がめっきり減った。

中学の頃は学校に売りにくるパン屋さんの商品の中ではコロッケパンが一番すきで、ほぼ週3ペースで食べていたものだが、最近では全くと言っていいほど口にしていない。

その主な理由は、高校の食堂のコロッケパンには余計なドレッシングがかけられているからというのと、更にわたしがラーメンという贅沢品の味を覚えてしまったから、ということである。

決してコロッケパンに飽きたわけではない。
聞けばちかごろどのコンビニのコロッケパンにもマヨネーズやらドレッシングやらがたっぷりかけられているそうじゃないか。
わたしはどうしてもそれが許せないのだ。

何度も言うが、本当にコロッケパンに飽きたわけではない。
ドレッシングでべちゃべちゃにされたコロッケパンの現状を嘆くわたしに、ラーメンが甘く囁いただけだ。


しかし高校の食堂のラーメンはなかなかおいしい。
もう食堂に通いつめて2年になるが、入学当初から変わらぬ味・値段、気付けば週5でラーメンの時もあった。
(コロッケパンの時といい、なんて偏食だろう)

そんな生活ばかり繰り返したものだから、今日のような、ラーメン売り切れ、の文字はひどくこたえる。

ちょっと待ってくれ。
委員会で遅れちゃったんです。でも今日は朝からラーメン食べようと思って学校来たんです。
ラーメンなかったらわたしはなにを食べたらいいんですか。
朝起きたときからラーメンを食べるつもりでいたのに今更カレーパンなんて食べられません。

お願いします、ラーメン作ってください。
本当にどうしたらいいんですか。
ラーメン、わたしのラーメン。


いくら哀願しても無いものは無いのだ。

大きく息を吸い込んで、そのまま食堂を出た。
吸い込んだ息を漏らさないように東校舎の屋上まで駆け上がる。
錆び付いて、あける度に大きな音を立てるドアを少し荒っぽくあけると、ドアの小さな枠の向こうに白い空がひらけた。

てっきり青い空が見れると思っていたわたしは、思いがけない白さに、ため込んでいた息を少し漏らしてしまった。

なんだ、と思いかけた時、視界が明るくなって、見たかった空が顔を出した。
大きい雲が通りすぎるところだったらしい。


それに安心して、貯水タンクの裏の、ほどよく日の当たる場所まで歩いた。
実はよくくる場所だ。
ほかの誰にも教えていない。
このひだまりは、わたしのものだ。

タンクにもたれて、隠していたコーラの空き缶を引っぱり出した。
妙な重量があるとおもったら、だいぶと灰がたまっている。
うそだろう、だって3日前に缶を変えたばかりなのに。
おかしいな、とおもいつつも、今現在問題はないのでそのままコーラの缶を右側において、セブンスターに火をつけた。

ヤニ臭い匂いが瞬間鼻をついて、それをそのまま肺に押し込んだ。
その間も煙はゆらゆら空に上った。
口から煙を漏らすと、それもゆらゆらゆらゆら飛んでいった。

昼ご飯を食べ損ねたお腹が派手な音をたてる。
仕方ないな、今日はもう食べないでいいや。


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