最近、リハビリテーションという言葉についてすごく考えるようになった。



よくリハビリテーションというと「再び適した状態になること」や「本来あるべき状態への回復」という意味をもち、「全人間的復権」「全人権的復権」と言われることが多いです。



それは、「人間らしく生きる権利の回復」という思いが込められています。



そんな時、ある方の講義をビデオをみていると


「障害をおったからといって人間じゃなくなることはない。人権がなくなることはない。復権とはどういうことなのか?」


これを聞いて、今一度自分の中のリハビリテーションの定義を考えないといけないと感じていました。


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様々なリハビリテーション

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僕は今、回復期リハビリテーション病院で働いているんですが、理学療法を勧める上で目標設定が大切になってきます。


この目標の多くは、寝返り、起き上がり、座位、起立、移乗、歩行、排泄動作、更衣、整容、食事などなど、日常生活に必要なことに関して設定されることが多いです。


リハビリテーションって言葉は他にも使われています。


訪問リハビリテーション、スポーツリハビリテーション、産業リハビリテーション、地域リハビリテーションまだまだ、たくさんのリハビリテーションがあります。


当然、これらの目標は全て同じじゃないと思います。


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目標は誰のため?

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様々なリハビリテーションの分野があって、それによって目標は異なってきますがその目標は誰のためなのか?


ここは共通して、本人である。と考えています。


病院で理学療法を行なっていると、患者さんは歩けるようになりたい。って言われることが多いんです。


ただ歩けるようになればいいのか?


僕は「何で」歩けるようになりたいのか、その「何で」が大切だと考えています。


歩けるようになった先に、孫と遊びたいのか、友人と食事や買い物にいけるようになりたいのか、家族と住みなれてるこの家を自分の足で歩きたいという想いなのか、趣味であった畑や旅行に行きたいのか、どれもアプローチ方法が違ってくると思います。


それに、セラピストは良かれと思っていても、患者さんはそう思ってないかもしれません。


患者さんのための目標設定にするには、この「何で」を共有することが大切だと思っています。



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目標達成のためには

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患者さんの想いを考えた目標達成には、僕ら回復期病院で働くセラピストだけでは、達成できないことが多くあります。


立てるようになる。


歩けるようになる。


トイレに行けるようになる。


などの活動は僕らで達成できます。


けれど、患者さんの"歩けるようになりたい"の先にある想いが、畑ができるようになりたいからなら?旅行に行けるようにないたいなら?友人とまた買い物に行きたいなら?


病院で勤務している僕らでは全て達成するのは困難です。


そんな時は、退院後に関わるケアマネジャー、訪問リハビリスタッフ、通所サービスなどなどに、患者さんの想いも一緒に申し送りをします。


そして、退院後も患者さんの想いを達成するために、多くの職種やサービスが関わり"想い"が達成していくんです。


この過程こそが、リハビリテーションじゃないかと考えるようになりました。


こう考えると


僕ら理学療法士や作業療法士、言語聴覚士がリハビリテーションスタッフとして言われていますが、これら職種はこのリハビリテーションに関わる一つの職種なんですよね。


リハビリテーションには本来は様々な職種(患者さん当人、家族なども含む)が関わっていることを認識しないといけないと感じています。


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"想い""思い"にかえて

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僕は以前、「戦略」と「戦術」の違いについてお話しを聞く機会がありました。


簡単に言うと


「戦略」:こうしたい、こうありたいという想い


「戦術」:戦略を達成するための具体的な方法


です。


僕ら理学療法士は患者さんの身体機能を見極め可能性を探る仕事です。なので、患者さんのこうなりたいという「想い」を聞き、患者さんの身体機能を見極め、具体的な方法を考え「思い」にかえるのが大切なんじゃないかと考えるようになりました。



こうして考えると、リハビリテーションは何らかの理由によって、患者さんの大切にしている想いが傷つけられたものを再び"想い"を形にする過程」なんじゃないかと思うようになりました。


そして、この想いは患者さんの生きてきた過程に大きく関わっていると思っています。なので、認知症が重度の患者さんや覚醒が低い患者さんでも、家族や患者さんに深く関わってきた方から人柄や歴史を聞き、患者さんが大切にしてきた"想い"を組みとることが大切。




僕はまだまだ、理学療法士としても道半ばで、今後たくさんの出会いを通して、このリハビリテーションや理学療法士としての在り方の考えは変わってくると思いますが、今の自分の考えをまとめさせて頂きました。