これまでやってきたことが奇跡なら
いっそ壊れてしまおうか

理不尽なことば
不用心な君の脚
濡れた瞳

全てが僕の心揺らし
僕を眠りにつかせない

桜の下歩いたあの日々は
もう遠い昔のこと

今は裸になった桜を
ただ見上げるだけ


「最近泉くん元気ないな~と思って」
綾香の顔は切実だった
友達の妹にまで心配かける自分に対して自己嫌悪を抱いた

「何かあったの??」
綾香はゆっくりキッチンに戻り、皿を拭き始める

『別に…何もないよ』
「嘘だ、何かあったでしょ~、フラれちゃったとか??」
『そんなんじゃねぇって!』
「嘘、フラれたんだ~」
綾香が笑った
でもまたすぐに寂しげな顔に戻る

「泉くんが元気ないとね、みんな元気なくなっちゃうんだよ」
『どういうこと??』
「泉くんが気付かないかもしれないけど…」

そういって皿を拭きながらこっちに来た

「ほら、泉くんとかお兄ちゃんの友達って、よくうちに遊びに来るじゃない。
その時、何となくわかるの。」
『ふ~ん…で分かるって何が??』
「も~鈍感だなぁ。その中の誰かが暗かったらみんな雰囲気が暗くなっちゃうってこと!」

綾香が一気にまくしたてた
何だかますます申し訳ない気持ちになった…

『…そっか~…。』
「そっか~…じゃないでしょ。何か嫌なことあったんでしょ?」
『…まぁな』

綾香が皿をキッチンに置きに行った
パタパタとスリッパを鳴らして帰ってくる

その音を聞くとなぜか安心した


――――――ピーンポーン
たけるの家のチャイムを鳴らす

…はーい
中からは何故か綾香の声

ガチャ
玄関が開いた
エプロン姿の綾香が立っている…

『あれ…??たけるは??』
「あ…あれ??聞いてなかった??お兄ちゃん少し遅くなるって」
『え!?うそ…聞いてないんだけど…』

そう言って帰る準備をしようとした

「あ、もしよかったらうちで待ってたら??」
『おっそうしよっかな』

遠慮なんていう言葉を知らない俺は家に上がりこんだ
相変わらず古くて居心地のいい家だな…

「ねぇ、泉くん??}
声が暗かったので綾香の顔を見ると
案の定下をむいていた