あのころからカウントダウンは始まっていたのか…
それは今でもわからないけど、後悔はしていない
自慢できる特技も、有り余るほどのお金も、守ってあげたい恋人も
持っていたわけじゃないけれど、心強い仲間がいたから
沈黙を破ったのは坂本だった
『とにかくさ、体治せよ。話したくなかったら話さなくてもいいし。
でも俺らは全員お前の味方だから。それだけは忘れんなよ』
線のように目を細めて、坂本は笑った
『そうだ、落ち着いてから考えろ。今は体治すことだけ考えろ』
そう言って岡本は俺から離れた
『…ありがと。ほんとうに…ありがとう』
俺は心から感謝していた
これ以上の苦しみはないと思っていた
歯車が狂い始める前の、一時の安らぎ
それを知るのはだいぶ経ってからだ
2人は、明日が終業式だから、と言って俺の部屋から出て行った