Amazonで観るべき映画 ベスト8

 

5 タクシー運転手  約束は海を越えて

 

昨年は広州事件を描いた作品が本作と「1987」と二本続いた。
両作の比較は後述するとして、共通する映画の社会的考察みたいなことからまとめてみたい。

多分「1987」のレビューでも書いたかもしれないけど、、

両作から今日でも通じること

①大本営発表みたいなことって、時として全く意味をなさないんだなってこと。
デモをしている輩は、特殊思想の過激派、治安維持のため、仕方なく軍や警察が

行動した、、、権力側からの発表は疑わしい場合も多いぞ!

②軍隊は、敵に備える抑止力だけにあらず!
その銃口は自国民に向けられること多々あり。

③まだ当時を知る人が存命している近過去をこうやって、

エンタテイメント映画で振り返られる韓国のパワーに脱帽と羨望。
国としては大きな過去の失敗だけど、「自虐的歴史観反対!」なんて言葉

でもみ消してしまおうとする輩に比べて、よっぽど潔い! 

④歴史を大きく動かすキーパーソンが今回はタクシー運転手。

そう言えばイラン映画でも全てを見てきたタクシードライバーがいたな。

さて、映画そのものに焦点を当てて語っていこう。
本作は自宅でDVD.「1987」は劇場、という違いは大きいと思うけど、

それを除いても、映画作品としてのクオリティーは「1987」の方が優っていると思う。

本作はいろんな意味で、ソンガンホという韓国ナンバーワン俳優に委ねられている部分が大だと思う。

彼が出るから企画が通り、多くのお客さんに周知される。

彼の演技力や画面から滲み出る人間的な魅力、
映画はその力に引っ張られ、助けられるのと同時に、彼の映画として認識されてしまう。

本来作り手は、自国の恥部歴史を改めて問い直すという狙いがあったのだと思うが、
本作の方が、映画的な演出がやや目立ったかな。例えばクライマックスのカーチェイスなど
もちろん、史実に基づいてのことだろうし、それらのシーンも充分に面白いし、いいシーンなんだけど、
「1987」のダイナミックさやドキュメンタリーのような事実の重み、

民衆の怒り、当局の横暴、闘うことの必然と哀しみみたいなものは、本作より上回っていたかな。

でも、「1987」は僕が昨年劇場で観たベスト10級作品なので、本作が悪い訳じゃないよ。

ソン・ガンホが生活の為に、それまで自国のことでありながら、全く無関心、

 

 

 

 

 

 

 

無知だった事件に入り込んで行き、変わっていくさまは、彼の演技力でグイグイ引っ張っていく。

後半ある決断に至るさまの気持ちの揺らぎの演技も見応え充分!




ここからネタバレ



ラストの記者本人の映像は衝撃
この映画はこんな目的でも作られたんだ!
歴史と映画と実在の人物とが結びついた!
一番苦しい時に助けてくれた人を、どの国の人も親友と呼ぶんですね。