「SKIN」レビュー


短編も併せてずっと観たかった作品。

配信いいね!


強烈な集団に帰属し、それにどっぷり浸かった人が、そこからどうやって抜け出すか


こんな設定はそれほど目新しいものではないが、その団体が白人至上主義のレイシスト集団なのが、とても現実的。


ネットやニュースで他国や日本のレイシストの方々を見るたびに、「この人たちを描く作品が出てきたらいいな。」て、思っていた。

それは、僕の常識や思考とかけ離れた存在だからだ。分からない人たちという点では

宇宙人と同じかもしれない。


スキンヘッドで全身にタトゥーを入れているブライオンは、白人至上主義の集団の中で生きてきた。

彼はその集団のリーダー夫婦に実の子どものように育てられ、差別と暴力の日々を過ごす。


最初のシーン。彼らの集会。差別と憎悪に塗れた言葉に酔いしれる参加者たち。

その中で、小さな子どもたちの歌が披露される。僅かばかりのチップを受け取るために、シングルマザーのジュリーとその娘たち3人。

ジュリーと恋に落ちたブライオンは、彼女と子どもたちのために、組織を脱退することを決意する。

しかし、組織は裏切りを許さないのだ。


ブライオンがなぜ、この集団に入っていったのかは、本作の短編で語られているそうだが、本編でも、街でたむろしていた若者がこの集団に拾われ、どんどん深みにハマっていく様子が描かれている。


ヤクザや新興宗教と同じように、入り口は優しく、中に入れば抜けられない沼のようだ。


この作品では、ブライオンがどのように

レイシスト集団から脱出するかをスリリングに見せることに重点が置かれている。

したがって、それぞれの人物たちを深く掘り下げるまでには至っていない。


ただ、クライマックスに、あるものを元に戻す行程か描かれているのだが、これは、凄い!

そこには、元の生活に戻ることの困難さが集約されているみたいだ。


短編も観てみたい。


若者よ、わが子たちよ、

レイシストにだけは絶対になるな!