「七帝柔道記」増田俊也 | のちゃのストーリーストーリー

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今でも旧帝大による、七帝戦というスポーツ大会があるそうだが、そもそも七帝柔道戦がもとである。で、その七帝の柔道部が継承している柔道が、高専柔道という寝技主体の特殊な柔道だった。戦後になって柔道といえば講道館とイコールになったが、かつての旧制高校時代にはこの高専柔道が独自に進化し、講道館柔道を脅かすほどの勢力だったという。勝ちは一本勝ちしかなく、寝技に引き込んで「待て」も「場外」もない。それらは、講道館が高専柔道を恐れて作ったルールだった。
この作者は僕より歳下だが、そんな時代でも、旧帝大というハイレベル国立大で地獄のような柔道修行をやっていた大学生がいたことに驚く。今や死語となったバンカラという言葉、その体現者たちの涙と汗と笑いの自叙伝的青春記。