●視聴者は形骸化したものに辟易している。
●とかくドラマでは、母親は母性の象徴、お父さんは厳格、あるいは逆張りで酒浸りや借金をするダメ人間で、メンターな人物は絶対的に正しくなければならない、というように、固定化された役回りというものを描きがちだが、『虎に翼』はそれがない。
●本来なら寅子のメンター的な存在になりそうな人物・穂高(小林薫)は、寅子を女子部法科にいざなったものの、そのあとは、悪気はないながら、ことごとく寅子の意に沿わない助言をして、寅子を憤慨させ続ける。
●これまで当たり前に描かれてきた人物像や展開から外れていくことが、社会の価値観を変えていくときに来ている現代と呼応して、絶賛の声が増加していくのだろう。視聴者はこうであらねばいけないという形骸化したものに辟易しているのだ。
●なぜか女性は仕事も結婚も子育ても、自分が求めるからにはすべてに満点を期待されるようなところがあるが、仕事70点、家事30点だっていいではないか。
●ときにはすべて赤点だっていいではないか。