俺はカーテンの隙間から外を覗いた。
腕時計をチラっと見る。
そろそろ行かないと。
暖かいコートをクローゼットから引っ張り出して来た。
寒いよな。
都会で雪なんて珍しい。
待ち合わせの場所まで少しだけ急いだ。
君が寒そうに待ってるのが頭に浮かぶ。
待ち合わせた場所に着くと君は空を見上げていた。
「何してんの?」
空から視線を外して俺の方に顔を向けた。
「翔くん。もう来たの?」
「君こそずいぶん早いんだね。」
「雪…珍しいでしょ?」
君が少し微笑んだ。
「うん…都会では珍しいね。」
すると、俺の顔を覗き込んで「ねぇ、なんか嬉しそうじゃない?」と笑った。
「えっ?そう?」
君は俺の心が読めんだろうか?
こんなに寒い日だ。
いつもより、二人寄り添っていられる。
そう思ったんだ。
すると、君の方から俺にピッタリとくっついてきた。
「寒い日はこうしてると暖かいよね。」
そう言って恥ずかしそうに笑った。
寒い日でも二人でいると暖かい。
俺は君の手を握って「じゃあ、行こうか」と歩き出した。
こうして二人で過ごす雪の日も悪くない。