誕生日ニノ♡
今日も朝から仕事だしそろそろ起きますか…
二宮がベッドから起き上がると同時に枕元にあったスマホが音を立てる。
なんだよ…誰…?
画面を見ると大野さんだった。
「もしもし、なに?」
二宮は少し不機嫌そうに電話に出た。
「あ、ごめん…寝てた?」
「…起きたとこ…」
「今日さ、そっち行くけど。」
「えっ…来るの?」
「ダメか?」
「う~ん、今から仕事だし。」
「何時に終わる?」
「今日は夕方か…夜には終わるかな。」
「なに?」
「何が?」
「仕事の内容、なに?」
「大野さん、怒ってるの?」
「いや…」
「今日は、雑誌の取材」
「ふーん。ウィンクとかすんの?」
「ふふ、なに?さっきから(笑)」
「気になって…」
「あ、もう行く時間だから切るよ?」
「あ、うん、今日行くから」
なんで今日来るんだろ?
なんかあったっけ?
二宮は雑誌の撮影やインタビューを受けている時も大野が自分の家へ来る理由を考えていた。
オレに会いたいだけかな…?(笑)
その日、仕事が終わりマンションへと帰るとソファーへ横になった。
疲れたぁ。
そう言えば大野さんいつ来るんだろ?
もう、すっかり夜になっていた。
二宮がソファーでウトウトとしているとインターフォンが鳴った。
ん…?
大野さんかな?
インターフォンのモニターに映る大野を見ると鍵を開けてエントランスへと通した。
もう一度インターフォンが鳴ったのでドアを開けて大野を部屋へ通した。
「で、今日はどうしたんですか?」
ソファーに座りながら大野に問いかける。
「カズ…」
大野も二宮の隣に座った。
「なに?」
「とりあえず一番早くおめでとうを言いに来た。」
「はぁ?」
二宮は大野を見ながら眉間にシワを寄せた。
「明日…誕生日だろ?」
「あ…」
「もしかして忘れてた?」
「まぁ、最近忙しくてさ。」
「だよな…」
「うん…」
大野は二宮を見てふっと笑った。
「疲れた顔してんな…」
「うるさいな。笑うなよ。」
「とりあえずさ、泊めてね、今日。」
「えっ?」
「いいじゃん?なっ?」
「ダメって言っても泊まるんでしょ?」
二宮は仕方ないと言う顔をした。
「まぁ…ね。」
大野は壁にある時計をチラッと見ると「まだか」と言って隣に座っている二宮の足の上に頭を乗せてソファーに横になった。
「ちょっと、大野さん重い。」
「時間まで寝かせて…」
そう言うと目を瞑った。
「時間までって?」
「時間までは時間までだよ。」
「もう、なんなの?!オレも寝たいんだけど。」
本当に寝ちゃったのか…
誕生日祝うって言ってたけど何だったんだろ?それに誕生日は明日だしな。
二宮は仕方なくそのままスマホでゲームを始めた。
どのくらい時間が過ぎたのか、ピッピッピッピッと音がした。
えっ?なに?
大野のズボンのポケットからだ。
しばらく音が鳴っていたが大野が起きてスマホを止めた。
目が覚めた大野は二宮の足の上から頭をどけて起き上がった。
大野はもう一度時計を見ると「カズ?」と呼んだ。
「なに?」
「まだ、ちょっと早いけど…」
大野は持ってきた大きなカバンから何か取り出した。
そして
「カズ、誕生日おめでとう~!!」
そう言うとクラッカーをパンっと鳴らした。
「えっ?」
「びっくりした?」
「びっくりって言うか…誕生日明日だし」
「一番最初に会ってカズにおめでとうって言いたかったんだ。クラッカー鳴らしてる間に時間になっただろ?」
そう言って時計を指さす。
「あ…」
時計の針は12時を指していた。
その何秒後にLINEが鳴り始めた。
「おめでとう、カズ。」
そう言ってギュッと抱きしめた。
「大野さん、苦しい…」
「いいじゃん、たまには。」
大野は更にギューッと二宮を抱きしめた。
「だから、痛いって。大野さん。」
「誕生日だからさ。おめでたいし。」
「もう、意味分かんないよ(笑)」
二宮は諦めて大野に抱きしめられていた。
「カズ、本当におめでと。」
「うん、苦しいからもう離して…」
「やだ…」
「もう、大野さん!」
二宮はそう言いながらも嬉しかった。
わざわざ来てくれたんだもんな。
「ふふ、大野さん、ありがとう」
「うん…愛するカズの誕生日だからな。」
「ふふ…」
おめでとう、二宮和也。
35歳。