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『おまけ。』
季節はまた夏になった。
少し暑い夏の休日。
久しぶりに三人で会う。
カズと翔くんと私。
ちょっとドキドキしていた。
カズと私で待ち合わせのカフェへ向かった。
先に来て外のテーブルに座っている翔くんの元へと二人で向かった。
「久しぶり、翔くん。」
私が声を掛けると「ふふ、なんか変なの(笑)」と私たちを見るなり笑った。
「えっ?なに?」
カズが不思議そうに翔くんを見る。
「だってさ、二人。」そう言って私たちを指さす。
「だから何?」
カズが不機嫌になって眉間にシワを寄せた。
「手なんか繋いでる、と思ってさ(笑)」
そう言って翔くんはニヤニヤと笑った。
私たちは「あっ!」と言ってお互いの顔を見つめてパッと手を離した。
「別に繋いだままでもいいのに。」
「恥ずかしいじゃん、そんなこと言われたらさ。」
カズはそう言いながら席に座った。
私も隣に座る。
「ねぇ、翔くんは?どうなの?」
「うん…これ見て。」
嬉しそうにスマートフォンの画面を見せてくれた。
「可愛いね。」
私は、隣にいるカズを見た。
「本当だ。翔ちゃんに似てる。ねっ」
「うん。」
翔くんはパパになった。
嬉しそうに子供の話しをする翔くんが幸せそうで私たちも嬉しかった。
あれから何年の月日が流れたのだろうか。
久しぶりに三人で会ってたわいも無い話しをして笑いあった。
「楽しかったね。」
「うん。」
夕方になり翔くんは家族の元へと帰って行った。
私たちもまた、手を繋いで夕方の道を歩いた。
「ねぇ、カズ?」
「ん?」
「私、紗栄子と仲直りしたんだ。」
「そっか。」
「うん。紗栄子今は幸せにしてるよ。」
「良かった。」
「うん。」
「俺たちもさ、幸せだよな?」
「何?急に?(笑)」
「そのままの意味だよ。」
「ふふ、うん、そうだね。幸せだよ。私たちも。」
「もっとさ、幸せにならない?」
カズが立ち止まって私を見た。
「えっ?なに?」
「ふふふ。あのさ…」
カズが何を言いたいのか…
分かったような気がしたけど私は次の言葉を待った。
ちょうど、日が暮れて空が茜色に染まりはじめていた。
風が吹いてカズの顔に風があたる。
私の髪も少しなびいて顔にかかる。
次の言葉を待っている時間はほんのわずかな時間だったはずなのにすごく長く感じた。
風になびいて顔にかかった私の髪をカズがそっと耳に掛けてくれた。
それからこう言った。
「結婚…しよ?」
「ふふ、うん。」
「ふふふ、なんか恥ずかしいな…」
カズは、そう言いながら私の手を取った。
「まだ、指輪はないけど…」
そう言って私の手をギュッと握った。
そしてこう言った。
「ずっと一緒に。これからの未来も。」
私たちは、これからもずっとずっと一緒に歩いていく。
君と歩く未来を。
終