次の日、目が覚めると俺の微熱は下がったみたいだった。
ベッドから起き上がってキッチンへと行った。
頭が重い。
君がこの部屋に来なくなってどのくらい経ったのか。
大野さんと楽しくやってるのかな。
やっぱり片想いって楽しくない。
君と手を繋ぎたい。
気に触れたい。
そんな感情に悩まされる。
今日は日曜日か。
いつも、日曜日になると俺の部屋へとやって来た彼女。
最近は、本当に来なくなった。
俺がまたベッドに潜り込もうとした時、インターフォンが鳴った。
俺がドアを開ける前にドアが開いて君がバタバタと入って来た。
「カズ、聞いてよ~!!」
「ちょっと…」
君はやっぱりベッドに乗ってそこに座った。
「どうしたの?」
「んー、大野くんとケンカした。」
君はそう言って頰っぺを膨らませた。
「なに?どうしたの?」
「だってね、せっかくの休みだったのにデートしてくれないの!!」
「はぁ?」
「カズからもなんか言ってよ。」
全くこっちの気も知らないで…
でも、久しぶりに会う彼女は可愛かった。
やっぱり好きだと思った。
「あのね、俺は昨日、風邪引いて熱が出てたの。そこに座ってると風邪が移るよ?いいの?」
「いいよ。だって、熱が出たら大野くんが心配してくれるもん。」
やっぱりそうか。
君の世界は大野さん中心で回ってるんだな。
「ベッド、下りて。風邪が移ると大変だしさ。」
そう言っても君はベッドから下りなかった。
「やだ…だって、風邪引きたいもん。もう、大野くんに心配されたい。会いたいよー。」
「あー、はいはい。じゃあ、会って来なよ。」
「だからー、ケンカしたの。なんで休みなのにデートしてくれないの?って言ったら大野くん、たまには自分の時間に使いたいって…なんか私じゃダメなのかな。」
君はそう言って泣きそうになる。
全く仕方ないな。
「大野さんには俺から話しておくから。今日はもう帰りな?本当に風邪が移ったら大変…」
君はベッドから下りると泣きながら俺の胸に飛び込んだ。
「カズ、ちょっとだけ泣かせて。」
俺は胸のドキドキが聞こえないか…ただでさえドキドキしているのにさらに心臓が早まった。
俺は彼女の背中をさすりながら、どうして君を好きなのか、どうして君が好きなのが大野さんなのか。
そんな事が頭の中でグルグルとしていた。
君はひとしきり泣いたあとスッキリしたのかあっさりと帰って行った。
「カズ、急にごめんね。ちゃんと仲直りするから。」
「うん。ちゃんと仲直りしろよ。」
そして、君が帰った部屋に1人になると急に寂しくなった。
どうして片想いなんだろう。
きっとその先はない。
片想いのままだ。
なのに、いつまでも君を好きで。
俺はまだ体がだるくてベッドに横になった。
せっかく熱は下がったのに、君に会ったせいでまた熱が上がったのかもしれない。
今日は、ゆっくり休もう。
ベッドに横になっていると、君の残していった香りがした。
俺はいつまで片想いなんだろうか。
天井を見つめながら目を瞑った。
君の残していった香りが俺を包み込んだ。
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片想いシリーズ久しぶりに書いてみました。
前回書いたのがもう一年前でした。
良ければ前回のものです。
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シリーズ化してるので良かったら他の作品も覗いて見てくださいね。
では